母の癌治療を「家族のプロジェクト」にできたわけ

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情報を賢く得ることで癌に立ち向かう

 癌になれば誰でも恐怖や悲しみを抱く。それは今西さんも変わらない。しかも息子さんは中学受験が佳境になっている時期。だからこそ、時間を有効に使うために、また家庭内に穏やかさを保つために、今西さんは自分にできることを一つ一つ見つけていくことに徹した。それは以下のようなことだ。

1. 癌に関する情報は、書籍→担当医→信頼できる友人→ネットで収集。

 今西さんが精密検査を受けることになってすぐ、書籍で乳癌情報を集めたことは前編で書いた。同時に担当医には、書籍でわかった情報をもとに、質問事項をまとめて投げかけた。

「たとえば、癌のタイプや進行度合いによってどんな治療法があるのか、とか、副作用は?とか。あと、私は乳房再建を希望していて、再発度合いを知る遺伝子検査も考えていたので、そのことについて意見を聞きました。仕事の予定も立てなくてはいけないので、平均的な入院期間なども。”最悪な状況”をまず認識して、全て想定の範囲に入れた上で、具体的な対策を考えられたので、冷静になれたのだと思います。質問に全部気持ちよく答えてくれる先生とそうでない先生は確かにいますが、疑問に感じていることは事前にメモをして聞くのがおすすめです」

2.  手術予定の病院を最速で予約する

 今西さんの場合、精密検査以前から「95%悪性」と予見されていたので、担当医のアドバイスに従って、事前に候補の病院を絞り、「家から近く」「乳癌(癌全体でなく)の手術数や内容に定評があり」「乳房同時再建手術ができる」ところに予約を入れた。

「良性だった場合はキャンセルをすればいいが、結果がわかってから予約を入れると、入院前検査や手術自体が遅れることもある、と担当医に聞いて。おかげで癌がわかってもスムーズに治療に進めたので、これは精神的にも肉体的にも本当に良かったな、と思いました」

3.   乳癌体験者に話を聞く

 インターネット上にあるブログなどは、最初は極力読むのを避けていた、という今西さんだが、知人の乳癌体験者には、実際に会いに行ってアドバイスを受けたという。

「ずっと気になっていた、周りの人に伝えるタイミングについてもアドバイスをしてもらいました。治療中大変だったことや、先生に聞いた方がいいことなど、本当に貴重な情報をもらえました。プロセスが具体的に想像できたし、経験者で乗り越えてきた人にポジティブな励ましをもらえたことで、私も前向きになれたと思います」

 こうした事前準備を経て、2018年11月末に両胸全摘手術と乳房再建手術に挑んだ今西さん。手術は無事成功し、半年たった今も、定期検診は行なっているが、予後は良好だ。

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