母の癌治療を「家族のプロジェクト」にできたわけ

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 今西さんが乳癌手術の準備等に慌ただしくなっていた頃、息子さんの中学受験勉強もラストスパートを迎えていた。他の保護者のように勉強を手伝ってあげることも、精神的なサポートに徹することもできない。しかし、今西さんはその環境がかえって良かった、という。

「もともと口出しされるのが嫌なタイプだということもありますし、親があまりプレッシャーを与えない方がいいかな、と思ってはいました。でもやっぱり受験戦争は過酷で、6年生の秋口ともなると塾通いが忙しくなって周囲の雰囲気もピリピリしてくる。つい心配になりそうだったのですが、私は自分のことでいっぱいで(笑)。激しすぎる受験の波にのまれず、受験だけが全てじゃない、思えたことが、我が家にとっては良かったのかなと思います」

 手術で入院中の今西さんに、息子さんからこんなLINEが入った。

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(今西さん提供)

「これを読んで、ああ、本当に成長してくれたんだなと感激しました。実は、息子は第一志望の中学は不合格だったんです。でも『あなたは、すごく頑張ってるし、頑張った結果がどうでも、あなたの人生は絶対面白くなるから。不合格でもその後の人生を大きく邪魔することはないからね』って伝え続けていたから、息子も気持ちを切り替えて、第二志望の学校に合格し、今はすごく楽しそうに通ってくれています」

 育ち盛りの子どもを抱える親にとって、癌になることはもっとも避けたいことの一つだ。今西さんにとってももちろん、こんなことがないほうが良かったに違いない。それでも、「人生は全てネタ」とできる限り前向きに捉え、最悪の経験とどう向き合うかで、家族との関係や子どもへの視点が変わってくることもある。

 今西さんの病気と受験への向き合い方は、私に「何があっても日々をどう明るく過ごすか」の意味を教えてくれた。

<前編:まさかの乳癌発覚に、息子の受験追い込みが重なって そのとき母は>

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