週休3日制の企業側のメリット
以上のような背景から、企業にとっても週休3日制を検討すべきタイミングになってきていることがわかる。それでは、企業にとっての週休3日制の具体的なメリットには何だろうか。
●人材の確保
週休3日制を導入したことでワーク・ライフ・バランスに配慮している企業というイメージを持たれやすくなり、採用活動の際には応募者を集めやすくなるだろう。また、すでに働いている従業員にとっては、実際に働きやすい環境を得られるので、離職率が下がる可能性がある。
●生産性の向上
週休3日制になると、少ない出勤日数のなかで仕事を進めなければならないため、より効率的に仕事をする工夫が始まる。また、休日が増えてプライベートが充実するためリフレッシュ効果が大きく、仕事への意欲が高まる。さらに自己啓発やスキル向上のための時間もつくれるようになり、従業員の人材としての質が高まることが期待できる。
週休3日制の従業員側のメリット
では、従業員側のメリットは何だろうか。
●社内の協力関係が強くなる
チーム内でお互いに休む日が増えた分、よりサポートしあえる体制づくりのために情報共有やアイデアの共有が進み、信頼関係が高まる。
●QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上
休日が増えることで、育児や介護などが行いやくなり、平日の行政手続き、休養、レクリエーション、地域活動、ボランティア活動、自己啓発などを行う余裕もでき、生活の質が向上する。
●通勤ストレスの軽減
出勤日が1日減ることで、1往復分の通勤列車に乗る機会が減り、ラッシュ時のストレスが軽減される。
週休3日制の企業側のデメリット
メリットが多い週休3日制だが、デメリットも考えられる。ただし、いずれも生産性の向上やチームワークの強化などで対応できるものがほとんどだ。
●業務の遅れ
生産性が向上しなかった場合、従来の期限で業務が終わらなくなり、納期に間に合わないなどの事態が発生するリスクがある。
●取引先との連携に支障が生じる
取引先は週休2日のままであることが多いため、営業日数が合わないことで連携に支障が生じる可能性がある。
●顧客へのサービス低下のリスク
勤務日数が減ることで、顧客が担当者と連絡が取れなくなり、急ぎの対応などができなくなることで、サービスが低下したと評価される可能性がある。
●品質の低下
少ない日数で業務を終わらせようとするために、従業員が仕事の手を抜く可能性がある。その結果、サービスの品質が低下するリスクがある。
●残業増加
勤務日数が減ったことで、1日の作業量が増えたり、休んでいる従業員のサポート業務が増えたりするなどして残業が増加する可能性がある。
週休3日制の従業員側のデメリット
従業員側のデメリットはどうだろうか。
●作業時間短縮によるストレス
従業員によっては作業時間が短縮されたことや、休んでいる従業員のカバー業務が増えることでストレスを感じる者も出てくる。
●賃金の減少
企業によっては、勤務日数を減らした分、給与も削減するため、収入が減少してしまい、かえって生活が厳しくなる場合もある。
●連続労働時間の増加による生産性低下
企業によっては、勤務日数を減らした分1日の就労時間を増やす場合がる。たとえば、1日8時間×5日であったのを1日10時間×4日にするなどだ。この場合、一気に連続労働時間が2時間増えるため、疲労度が増して集中力が低下するなど、生産性が下がる可能性がある。
●仕事ができない人員が浮き上がってしまう
勤務日数が減ることで、各人の仕事の効率化やチーム内の協力体制を強化する必要性が高まる。その結果、仕事の効率が悪い者が明確になったり、情報共有や引き継ぎ、サポートの下手な人員が足手まといとなってチームから浮き上がってしまい、人間関係が悪化する可能性がある。