大卒就職率98.0%…異様な数字の背景は? 就職に強い学部、弱い学部

【この記事のキーワード】

 データによると、2018年卒業生の就職希望率は75.3%でした。つまり卒業生の4人に3人が就職希望ということになります。これと就職率98.0%をかけ合わせると

 0.753×0.980 = 0.73794

 となり、実際には73.8%の学生が就職したという計算になります(2018年4月1日時点でのデータによる計算)。国立、私立別のデータで見ると、どちらも就職率は98.0%でしたが、国立の就職希望率が53.7%、私立が86.1%でしたので、

 国立の実際の就職率 0.537×0.980 = 52.6%

 私立の実際の就職率 0.861×0.980 = 84.4%

 となり、国立大学に進学した学生は半数しか就職できていないということになりますが、これには違和感を感じませんか。もちろんこれにはカラクリがあります。

4年で卒業して就職する学生の割合は58.9%

  国立と私立では大学院への進学率に大きな差があるのです。国立大学卒業者の3分の1は大学院へ進学するのですが、私立はわずか5%。進学者を除く卒業生の数における就職者の割合は国立89.0%、私立88.1%となります。大学院に進学する人は当然大学卒業後すぐに就職するわけではありませんから、その人数は省いて考えるべきでしょう。卒業者数から進学する人数を除いた学生を分母として考えてみても、公式発表の98%とは10%の開きがあるということになります。

 さらには、大学を最低修業年数で卒業する学生の割合は、医学・歯学・薬学を除くと79.8%となります。つまり入学して4年で卒業できる学生の割合は8割程度なのです。前述の「卒業生のなかで就職した割合」である73.8%(=0.73794)と

「4年で卒業できる割合」である79.8%(=0.798)をかけ合わせると

0.73794×0.798 = 0.5889 =58.9%

 となり、大学に入学し4年で就職する学生の割合は6割程度ということになります。

  これが現在の大学生の就職の現状を示すデータということになります。ちなみに進学する意志のある学生を除いて計算しても71.8%となります。

 さらにいえば、文部科学省は大学に対して、「卒業要件の厳格化」、「成績評価の厳格化」を求めてきています。

「卒業認定・学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」及び「入学者受入れの方針」の策定及び運用に関するガイドライン

 そのため現在8割ほどの最低年限卒業率も低下する可能性があります。なぜなら、私立大学生への仕送り額が過去最低になり、30年前は1日あたり2460円でしたが、現在は677円となりました。

 学生は遊興のためではなく、生活費を稼ぐためのアルバイトに勤しまなければならず、自宅学習時間の確保が厳しくなる状況にあります。現在の親世代のイメージにある「大学に4年通えばどこかに就職できる」という大学像は、もはや過去の幻想になるのかもしれません。

 100%近い就職率であることを発表して景気の良さをアピールしたい意図があるのかもしれませんが、実数発表も含め日本の大学教育現場の実情をもっと報道してほしいと願います。

1 2 3

「大卒就職率98.0%…異様な数字の背景は? 就職に強い学部、弱い学部」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。