大卒就職率98.0%…異様な数字の背景は? 就職に強い学部、弱い学部

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最も就職率が高いのは農学関連

  そんなご時世ですから「どの学部に進学すれば就職に有利か」ということは気になることでしょう。そこで学部分野別のデータから、その疑問を解決してみましょう。

(分野名横の数値は進学者を除く卒業者のうちの就職率)

 進学者を除くと、最も就職率が高いのは農学関連の学部というデータになりました。農業系というと農協や農場、牧場への就職のイメージが多いでしょう。実際、後継者不足に悩む農家は多いでしょうから、若い人材の確保は急務でしょう。ただ農学部の就職先となる業界は

■        食品業界

■        製薬業界

■        化粧品業界

■        種苗メーカー

■ 農薬、肥料を開発する化学工業

 など多岐にわたっており、引く手あまたとなっています。製薬や化粧品業界は意外に思われるかもしれませんが、バイオサイエンス、ゲノムサイエンスを学べる農学部からはこのような業界への就職も望めるのです。

 逆に低いほうを見てみると、保健分野、芸術分野が7割程度の就職率となっています。保健分野といえば看護系、福祉系の学部が含まれます。福祉系の企業は農業系と同様に手不足で若い労働力は喉から手が出るほど欲しいところなのでしょうが、実際に福祉系の学部から福祉系の職種に就職する学生の割合はなんと2割だとか。大きな理由は「処遇の低さ」と「賃金格差」。就職したい意識は高くてもこの現状を受け入れられず、二の足を踏んでしまう様子がうかがえます。このミスマッチを解消するには、国全体として処遇や賃金の改善に取り組まなければならないと考えます。

 芸術分野の場合は、美術系ならデザイナーや芸術家、音楽系なら作曲家や演奏家といった専門職を目指す学生が多いため「その他」の割合が多く、企業に就職する割合は他学部に比べて低くなります。ただ美術系では広告・グラフィック関係で広告制作会社への就職、ファッションデザイナーとしてアパレルメーカー、ゲームやアプリのキャラクターデザインの制作者としてソーシャルゲーム会社などへの就職が期待されます。

 首尾よく専門職につけたとしても、芸術系の仕事はプロとして生き残れる確率が低いことに変わりありません。生き残るためには自身の作品を売ってお客さんを集めなければならないのですが、大学でそのような「マーケティング」を学ぶ学生はほとんどいないと聞きます。芸術分野の学部のカリキュラムにぜひ「経営」「マーケティング」に関する講座を設ける必要があるでしょう。

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