「仲間に認められるため」ナンパし、性暴力に至る
現在、東京地裁で公判が進行中の塾長・渡部被告は一連の起訴事実を「女性が抗拒不能になった事実はなく、抗拒不能であったという認識もなかった。他の塾生らと共謀もしていない」と否認している。だが事件を認める塾生らが次々と上記のように認定され懲役刑を言い渡される中、この主張はやや苦しくなってきたと言わざるをえない。
逮捕の際、ひとりではなく2名の逮捕が多いのは、彼らのナンパ手法が関係している。男2、女1という組み合わせはナンパ業界では「正3」と呼ばれ、RNAではこの正3を通じて、ナンパや性交に至る流れの、技術伝承が行われることが多かった。実際にこれまでに開かれた元塾生らの公判でも、2名の被告がひとりの女性をナンパして事件に至るケースが続いている。
元塾生の大瀧は公判で塾長について「ある種、宗教の教祖のようなカリスマ性があり、すごい人だと思っていた。女性とのコミュニケーションを円滑に進める能力とトータルスキルがすごい」と当時の心酔ぶりを語っていた。正3による技術伝承の場で塾長の姿を目の当たりにしてさらに尊敬を深めていたことだろう。そんな塾長が主催するRNAにおいて、彼らが次第に重きをおくようになったのは、ナンパによる性交人数を増やしていくことで尊敬する塾長や塾の仲間に認められることだった。その結果、彼らは女性を単なる「数」として扱うようになっていった。
「ゲット数という数だけで私を認識し、代わる代わるレイプした。心と体がめちゃめちゃになり、男性が怖くなった」
「誰にも相談できず落ち込む日々を送っていた。でも忘れられず、大きく記憶に残っていた」
公判で被害女性たちはこのように、遮蔽の奥から陳述していた。
公判で元世田谷区職員の根津は「100人ぐらいセックスした」と語っていた。今もどこかに、RNA塾生らの「ゲット数」競い合いの被害者がいる可能性がある。捜査はまだ続いている。