勤務時間を柔軟することが急務
出産後に復職した人の割合を見てみよう。復職した人は53.7%いたが、復職しなかった人も39.5%と4割いた。復職しなかった理由では、「育児と仕事の両立が難しそうだった」(47.7%)が最多だ。
復職後の辛さでは、「子供のことで急な休みが多くなった」(43.4%)、「子供のことで周囲に遠慮し疲れる」(38.0%)、「育児の仕事の両立が大変だった」(37.1%)と仕事と育児の両立の難しさを挙げる人が目立つ。「少子化」および「労働力不足」が叫ばれて久しいが、育児と仕事を矛盾なく両立させることが難しいような社会である以上、少子化も労働力不足も必然の結果といえるだろう。
では、復職後も育児と仕事をバランス良くこなそうと奮闘している会社員女性たちは、何を求めているか。社内のどんな制度が助けになったかについては「時短勤務」(48.9%)が非常に高く、会社にしてほしい配慮も「勤務時間の柔軟な対応」が最も票数を集めた。これも当然のことで、子供を夕方5~6時に保育所などにお迎えに行き、9時には寝かしつけようとすれば、4時には退社したい。子育て中は、夜まで会社で働き続けるわけにはいかないのだ。
このアンケートの回答者は女性たちだが、もちろん、育児負担が女親に偏りすぎていては、「両立の大変さ」は増すだろう。「子育てとの両立にあたってもっとも必要なもの」の問いには、「パートナーの理解と協力」(28.8%)、「周囲の理解と協力」(24.3%)、「会社としての制度の整備」(18.6%)との回答が多くなった。
ただ、「パートナーの理解と協力」を得るためには、「パートナーの勤務先や上司の理解」も必要だ。「女性社員には時短を認めるが、男性には認めない」等、性差別的な職場もまだある。要するに、「パートナーの理解と協力」も含め、社会全体における“育児はお母さんの仕事”という偏見を取り払い、男女どちらも柔軟な働き方を認める空気の醸成が必須といえるだろう。
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