マツコの「社内ニートは実力不足」に見る、優秀な人に仕事を集中させるリスク

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「Getty Images」より

 4月10日に放送された『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、マツコ・デラックスが“社内ニート”について持論を展開した。番組中、「優秀な同僚にばかり仕事が振られ、上司に『仕事を回してほしい』と頼んでも雑務ばかり…」という会社員からの投稿が紹介されると、マツコ・デラックスは以下のようにコメントした。

 「優秀な同僚のせいで仕事が回ってこないっぽいニュアンス。そんなに自分が仕事したいならその人を超えなきゃ無理っしょ。上司は仕事をちゃんとしてくれる方に回しますよ。『私のこと優しく平等に扱ってくださいよ』の臭いがするんだよね。平等じゃないですから、社会は」

 社内ニートになってしまったのは投稿者の実力不足であり、現状を脱したいのであれば、投稿者自身が努力するしかないということだ。一見もっともらしいこの主張に、Twitter上では「マツコが思ってたことを言ってくれてスッキリ」といった称賛の声が寄せられている。ただ、このケースを投稿者の自己責任で終結させることは危険ではないだろうか。

社内ニートはただの“怠け者”か

 まず、優秀ゆえに仕事を振られる同僚の心身の健康状態が気になる。2013年9月18日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)が特集した「拡大する“ブラック企業” ~過酷な長時間労働~」というテーマで、過労死遺族の切実な言葉が紹介されていた。大手飲料メーカーの子会社で正社員として働いていた23歳の男性は、毎朝5時の始発で出勤、夜10時過ぎに帰宅するという生活を続け、過労死。男性の姉は、生前に弟が「上司が仕事を押し付けてくることとか、体力的に厳しいと、すごい言っていた」と漏らしていたとコメントしている。

 そもそも、仕事を全く振らないことはハラスメントに抵触する恐れがある。仕事を与えず閑職に追いやり、職場に居づらくするという“職場内いじめ”は、賠償請求の対象にもなり得る。前述の投稿者の場合、上司の適切なマネジメントが必要だろう。

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