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飲む前に服用するだけで酒量が減る? アルコール依存症の新薬がついに発売開始

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「Getty Images」より

 花見、歓送迎会、同窓会など春爛漫のほろ酔いに誘われ、心浮き立つ酒宴に事欠かないこの季節。だが、飲み過ぎにはアルコール依存症のリスクがつきまとうことを忘れてはならない。

 飲酒による快楽を習慣的・慢性的に繰り返し得ようとして、短期間に大量の飲酒(多幸感の継続獲得)をすると、思考・感情・理性を司る大脳の前頭葉の働きが弱まり、快楽や多幸感を司る脳内の神経伝達物質のドーパミンが過度に放出されるため、アルコール依存症(アルコール使用障害)に陥る。

 アルコール依存症は、脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝細胞がんなどの肝臓疾患、複数のがん、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病、さらにはうつ、不安障害など200以上の重篤な疾病のリスクを高めるといわれている。

 しかも、家庭崩壊、職場放棄、飲酒事故、傷害、DVなどのトラブル、人間関係の破綻、借金、人格の破壊、絶望死などの破局をもたらす恐れもある。

 2003年に実施された調査によると、日本でアルコール依存症の疑いのある人は440万、治療の必要なアルコール依存症の患者は80万人いると推計されている。(厚生労働省、疾患の詳細

 では、アルコール依存症の治療はどのように進めるのか?

これまでの抗酒薬や断酒薬の効果は限定的

 アルコール依存症の治療目標は「断酒の達成と継続」であることから、治療は心理社会的治療(認知行動療法/集団精神療法/動機付け面接法/家族療法)を中心に行い、補助的に薬物治療を行う。

 アルコール依存症の薬物治療は、抗酒薬のシアナミドやジスルフィラム、断酒薬のアカンプロサートが処方されている。

 抗酒薬は、肝臓のアルコール分解酵素のアルデヒド脱水酵素(ALDH)を阻害し、飲酒時の血中アセトアルデヒド濃度を上げるため、顔面紅潮、熱感、頭痛、悪心・嘔吐などを引き起こし、飲酒欲求を抑制する。だが、断酒治療を拒否・放棄する症例が多いため、飲酒渇望を抑制する効果は弱く、副作用は強い。

 また、断酒薬は、アルコール依存症患者の脳で亢進する興奮性神経(グルタミン酸作動性神経)を抑制するので、神経伝達の均衡が保たれ、イライラ感や飲酒欲求を和らげる。しかし、国内の臨床試験によると199例中37例(18.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢28例(14.1%)、傾眠、腹部膨満、嘔吐各2例(1.0%)だ。さらに1日3回服用が必須のため、断酒への強い意志と規則正しい生活が求められ、効果も限定的とされる。

 今年3月、新に国内初の減酒薬「ナルメフェン」が発売されたが、これは今までの薬とどこ違うのだろうか。

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