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安倍政権が国民栄誉賞を量産する本当の理由

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写真:代表撮影/ロイター/アフロ

 『令和』発表で内閣支持率上昇に成功した安倍政権の次なる一手は、「令和最初の国民栄誉賞はイチロー」。これで上げ潮に乗れるはず、だったのに、イチローがまさかの辞退で目論見は外れた。

 政府に対し、代理人を通して「人生の幕を下ろしたときにいただけるよう励みます」という回答があったという。

 イチローはこれまで二度、国民栄誉賞受賞の打診を受けてきたが、いずれも現役選手ということで固辞している。今回の引退発表で障害がなくなったと政府は踏んだのだろうが、完全な誤算だったわけである。

 「イチローが国民栄誉賞を辞退。正解だと思う。私は、もうこの賞は廃止したほうがよいという持論である。権力が利用したがる国民栄誉賞などなくても、イチローは世界のスーパースターである」

 こうTwitterに投稿したのは、国際政治学者で元東京都知事の舛添要一氏だ。国民栄誉賞に対し、「政治利用」「人気取りが目的」などの指摘は以前からあったが、いよいよ”不要論”まで飛び出す始末だ。

 明確な選考基準がなく、しかも時の政権の支持率アップに都合よく利用されてきた感のある国民栄誉賞。創設から40年以上が経過し、そろそろ見直しの時期が来ているのかもしれない。

国民栄誉賞を辞退した人、もらえなかった人

 第1号の王貞治氏から、直近の羽生結弦選手まで、国民栄誉賞の受賞者の数は26人と1団体。スポーツ選手や俳優、作曲家など、いずれも偉大な功績を残し、国民の間で広く親しまれてきた人たちが賞を受けてきた。受賞者の顔ぶれに違和感はない。が、「この人はもらえて、なんであの人はもらえないの?」とスッキリしない印象も同時に残るのがこの賞の奇妙なところである。

 批判や揶揄が飛ぶ理由は、受賞基準が抽象的だからだ。内閣府によると、国民栄誉賞の表彰対象は、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったもの」。このように漠然としており、何をもって「明るい希望」「顕著な業績」とするか不明。しかも、選考委員会を設置して投票により選出するシステムではなく、時の総理大臣が賞を与えるといえば与えられる仕組みなのだ。

 国民栄誉賞を辞退した人もいる。イチロー以外には元プロ野球選手の福本豊氏、作曲家の故・古関裕而氏が受賞を断った(古関氏の場合は遺族)。

 当時、盗塁の世界記録を樹立した福本氏が、「そんなものもらったら立ちションベンもできなくなる」といって賞を辞退したのは有名な話だ。一方、古関氏に対しては没後受賞の話題が持ち上がるも、遺族が辞退した。古関氏の長男は、「元気に活動している時にもらうならともかく、亡くなった後にもらうことに何の意味があるのか」と語っている。

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