
「Getty Images」より
新入社員の研修も終わり、多くの企業では新人の現場配属が始まっている。一方、企業側にとってゴールデンウィーク(GW)は採用後のひとつのヤマ場といえる。GWを境に退社を検討する新入社員が出てくるからである。
「最近の新人は忍耐力がなく、すぐに辞めてしまう」というのはよく聞くセリフだが、新入社員の定着率は低下しているのだろうか。
新入社員が辞職する割合はいつの時代も同じ
実は「近年、新入社員の定着率が低下している」というのは真っ赤なウソである。新入社員が会社を辞める割合は30年以上にわたってほとんど変化していない。
厚生労働省の調査によると、大学卒の新入社員が3年以内に会社を辞める割合は31.8%となっている。この数字は多少の変動があるが、1980年代から大きな変化を見せていない。最も離職率が低かったのは、バブル崩壊直後の1993年で24.3%だったが、その後は上昇しており、30%台前半で推移している。
1年目で辞める新人は少なく、2年目で辞める人と3年目で辞める人がほぼ半々という傾向も変わっていない。つまらないからといって会社をすぐに辞めるわけではなく、1年から2年、様子を見て辞職を決断しているようだ。1年以内の辞職は上司や人事などが必死で慰留する可能性が高いので、こうした事情も1年目に退職が少ない理由のひとつだろう。
データを見る限り、「最近の新人はすぐに辞めてしまう」という話は完全に幻想ということになる。
あくまで一般論だが、会社内におけるバブル世代上司の評判はすこぶる悪い。何かといえば、過去の話を持ち出し、若手に対して、やれ「草食系」「ゆとり世代」「我慢力がない」などと批判を繰り返すのが典型的なイメージだろう。
だが、そんな上司が新入社員だった頃も今と同じ割合で新人が会社を辞めていのだから、何も変わっていないはずである。また、当時の若手は「新人類(やる気がなく何を考えているのかわからないという意味)」と揶揄されており、覇気がないと当時の上の世代からさんざん攻撃されていた。