3年我慢すべき、という話には根拠がある?
厚労省の新卒の離職率調査には3年目以降のデータはないが、日本の平均的な離職率(パートタイム除く)は11%程度なので、3年目以降の定着率はかなり高いと推察される。10年を経ずに完璧な会社人間に変貌していた筆者の友人のケースなどを考え合わせると、3年目から10年目くらいまでの間に、会社人間としてのアイデンティティが確立すると考えればよいだろう。
人間は自分が想像するよりもはるかに唯物的(物理的な環境で精神が構築されるという哲学的な概念)な存在である。特に日本人は諸外国のビジネスパーソンと比較してその傾向が強いように思える。漫然とした状態で10年近く同じ組織に居続けた場合、かなりの確立で組織のカルチャーに染まってしまう可能性が高い。
筆者はむやみに転職や起業を推奨するつもりはまったくないが、本気で会社のカルチャーに染まりたくないと思っているのであれば、どこかのタイミングでは会社を辞めるといった行動が必要になる。
辞職を考える新入社員に対して、しばしば「3年我慢しろ」などと言われることがある。3年という数字に明確な根拠はなく、区切りがよいというのが最も大きな理由だろう。だが、3年目以降は離職率が下がる可能性が高いことを考えると、3年我慢しろという話もあながちウソではないのかもしれない
もしこの話が事実だとすると、辞職を検討している新入社員へのベストなアドバイスは、やはり「3年待て」になるだろう。もし会社人間に変貌してしまう人なら、3年後には会社や上司を批判していたことすら忘れているだろう。
一方、3年経過しても気持ちがまったく変わらない人は、おそらくその後も同じ状況が続くと考えられる。3年経過していれば、第二新卒ではなく中途採用の枠組みに入ってくるので、そのほうがキャリア的には有利かもしれない。つまり、3年在籍していれば結果はわかるのだから、今あれこれと思い悩む必然性は薄いのだ。