安部公房「砂の女」を舞台化で溢れ出る男と女の生々しいエロス

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 昭和のある日。砂にすむ虫を探しに砂丘のある村にきた男が、砂に囲まれた穴の底にある家に宿をとります。家には、夫と子どもを砂嵐で失った女がひとりで暮らしており、吹き込んでくる砂をかき出して暮らしていました。一夜の宿のつもりが、地上へと通じる縄ばしごを外され穴の中に閉じ込められた男は、女とともに奇妙な同居生活を送ります。

 原作は長編小説ですが、同舞台では男が穴の底を訪れた場面から始まります。小劇場作品は、インターミッション(幕間の休憩)を挟むことなく上演されることがほとんど。そのため、あらすじの要素をどうピックアップし、かつコンパクトにまとめるかは、脚本家の力量が問われるところです。

生きることとセックスとの距離

 舞台上は、砂をかくスコップなど最小限の小道具のほかは一面、サラサラした砂に覆われており、舞台から1メートルも離れていない客席の最前列は、文字どおりの砂被り席(余談ですが、防砂用にマスクが配られていました)。閉じ込められたことにまだ気づいていない男が、砂をかく女にうんちくを垂れる横で、大量の砂が突然降ってくると、音だけでなく振動すら伝わるようで、自分も砂の穴の中にいるような恐怖を覚えました。

 その生々しさをさらに印象付けていたのが、高野演じる女でした。着ているうすい浴衣の砂の汚れが、まるで体臭がにおってきそうなリアルさ。その汚さこそが、大股開いて寝入っていたり放尿したりする場面よりもエロティックに感じられたのは、本当に穴の中に住んでいるようにしか見えなかったから、としかいえません。また、のんきな発言をくり返す男へ、物腰はていねいなのに視線は冷たいのも、非情な環境下で生きる必死さが感じられました。

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安部公房「砂の女」を舞台化で溢れ出る男と女の生々しいエロスの画像2 ウェジー 2018.08.27

 村民から女の家に閉じ込められたことを知った男は女を恫喝し、暴力もふるいます。なんとか脱走をはかるもののかなわず、生きるために必要な物資も村民からの配給に頼るしかないため、女と夫婦のように暮らしながら、徐々に順応していきます。

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