政治

安倍政権「衆参ダブル選挙」と消費税、最後の決め手は株価か

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 そこで浮かんだのが、消費税を2%引き上げれば税収が5兆6000億円増えるという計算です。トランプ氏の狙いは、消費税引き上げによる増収分を防衛費に回し、それで米国の戦闘機やミサイル、イージス艦を買ってもらうことです。安倍総理はこれに乗らざるを得なかったようで、防衛費の拡大と米国の武器購入増をその場で約束しました。

 そのために本来嫌いな消費増税をあえて決断せざるを得なかったと見られます。問題は、消費税による税収増分は本来、社会保障関連の支出と、財政赤字削減に回すことになっていたことです。

 したがってそのままでは、防衛費の増加や米国製武器の購入に回せません。そこで安倍政権は昨年、消費税の使途を弾力化することを国民に問い、増税による収入を幼児教育の無償化などに回したいと訴え、これが受け入れられました。

 しかしこれは建前であって、実際は米国の要請に応える方向で使うために、使途制限の撤廃を求めたわけです。そして目立たないように、米国からF35戦闘機やイージス・アショア、ミサイルの購入を増やしています。すでに消費税の本来の使い道からかなり逸脱した方向に使われ始めているわけです。その消費増税を取りやめ、あるいは延期するとなると、大きな軋轢が生じることになります。

消費税引き上げ延期の理屈付け

 まずは自ら公言した延期理由の「リーマン危機並みの経済危機」をどう説明するのかが問題となります。ここまではむしろアベノミクスの成果として「戦後最長の景気拡大」を強調し、経済は順調で株高がアベノミクス成功のバロメーターと考えてきました。それだけに、一転して経済危機を持ち出すのはあまりに唐突と言われかねません。

 ところが、安倍政権にとって都合の良い事情が現れました。たまたまお隣の中国経済が急速に悪化し、さらに欧州経済も減速しているため、日本の輸出がその影響で減少気味となり、これが国内の生産や設備投資に悪影響を及ぼすようになったことです。これにより、「アベノミクスはうまくいっているのに、海外経済が悪化した」という“人のせい論法”が成り立つようになりました。

 おりしも、内閣府が作成している「景気動向指数」が、日本経済はここ数カ月の間にすでに景気後退に転じた可能性を示唆するようになりました。これを額面通りに受け止めれば、政府の言う「戦後最長の景気拡大」は実現しなかったことになるのですが、消費税増税を取りやめるうえでは「景気後退」のキーワードが強力な援軍となります。それも中国のせいにできます。

 したがって、現在政府は2つの相反するカードを手にしています。1つは、アベノミクスの成功を前面に出すもので、戦後最長の景気拡大をはじめ、雇用の拡大、賃金増、株価上昇を訴えて選挙戦を戦うものです。この場合は消費税を予定通り引き上げる作戦になります。

 もう1つが、逆に内閣府の景気動向指数を逆手にとって景気後退を認め、そんな中で消費税引き上げはとてもできない、として消費税引き上げの延期を訴えるものです。現在はこの2つのカードのどちらも切れるのですが、情勢は後者に傾きつつあります。5月から6月になるとよりはっきりしそうです。

 まず5月には今年1-3月の日本のGDP(国内総生産)が発表されるのですが、今の予想ではどうもマイナス成長になると見られます。輸出が減少しているだけでなく、その影響で生産が大きく減少し、設備投資にもブレーキがかかっています。そして、個人消費は相変わらず弱いままです。この数字を突きつけられると「戦後最長の景気拡大」よりも「景気後退」のほうがより説得力があります。

 また自民党の萩生田光一幹事長代行は18日、インターネットTVの番組で、景気には最近弱い動きが見られ、6月の日銀短観の結果いかんでは消費税引き上げを延期する可能性を示唆しました。そして、これを国民に問うと言っています。政権中枢の1人がついに消費税引き上げ延期の可能性と、これを国民に問う選挙の可能性を示唆しました。ダブル選挙を画策する政権の本性が出始めたと見られます。

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