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モノの多い年収1000万円とシンプルライフの年収400万円、その幸福度は?

【この記事のキーワード】

爆買いから体験型へ

 「買う=消費」ってどういうことでしょう。普通に考えると、「必要だから買う」ということになります。あるいは、「使うために買う」です。

 しかし、冒頭で紹介した芸能人のストックは違います。「なくなったら困る」を超えています。

 一方のミニマリストは、「ストックは無意味」といいます。「管理しきれなくなるとストレスになる」「稼いで消費するのが無限に続く消費社会は疲れる」「贅沢は幸福度を下げる」「シンプルが一番」と言います。

 「消費」をもう少し広げて考えてみます。数年前から始まった、中国人を中心としたたくさんの外国人観光客による「爆買い」はインパクトがありました。一時は、休日の銀座は歩くのも嫌になるほど買い物客であふれていましたが、今は落ち着いた印象です。中国での電子商取引を規制する法令が施行されて、「爆買い」に走る中国人が減ったこと、観光の主軸が体験や歴史的名所観光など「コト消費」に移ったことなどが要因のようです。

 モノを所有する欲よりも、経験によっての満足感を求める。気持ちが高揚したり、気分が良くなったりすることを経験して、「価値観の変化」が起きたのでしょう。

 そう、「価値観」が、お金の使い方のキーワードになるのではないかと思うのです。「価値観」とは、本来自分自身のものですが、人はしばしば他人による評価が気になるものです。

 たとえば、『幸せとお金の経済学』(ロバート・H・フランク著・フォレスト出版)によると、他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるものを「地位財」といい、幸福の持続性は低いとされています。所得、社会的地位、教育費、車や家などの物的財が当てはまります。

 一方、「非地位財」は、他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるものと定義され、幸福の持続性が高いとされています。休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境などです。

 この本では、人にとっての幸せは、隣人に対する相対的な立ち位置で決まり、それを確保して維持するためにお金を使うことが多いと述べています。そのために経済力が必要になるというのです。

 初期のインバウンド消費は、日本製のモノを持っていることが、持っていない隣人への優位性を誇示することも含まれていたのかもしれません。また、住宅街で平均より大きな家を建てると、人は誇らしい気持ちが生まれます。すると、それをみた隣人は、自分だってとさらに大きな家を建てるといった連鎖が起こります。「地位財」のトラップですね。

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