泊まれる本屋や入場料を払ってでも入りたい本屋。出版不況にあらがうユニークな書店の奮闘

【この記事のキーワード】
【画像OKです!】泊まれる本屋や入場料を払ってでも入りたい本屋。出版不況にあらがうユニークな書店の奮闘の画像1

「Getty Images」より

 通勤電車の中やカフェの店内、街角の待ち合わせ場所などは、以前なら本を読んでいる人が多かった。

 “以前”とは、スマートフォンやタブレットが普及する前のことだ。しかし今どきは、そうした場所で本を読んでいる人は圧倒的少数派だ。

 これはインターネットの普及だけが原因ではないと思うが、本離れは確実に進行してきた。また、Amazonに代表されるようにインターネット上から本を購入できるようになってきたため、書店の利用者はますます減少した。

 その結果、出版不況といわれるほど本が売れなくなり、実際に皆さんの周りでも、小さな書店は次々と閉店して消えてしまったことだろう。生き残っているのは、売り場面積が極端に広い大型書店ばかりとなった。

 このような時代に、今さら本屋さんでも始めようか、などという奇特な人は少ないだろう。ところが、この本の売れない時代だからこそ、ひとひねりしたユニークな書店が登場してきている。 

本が売れない時代

 本が売れない時代であることは確かだ。全国出版協会・出版科学研究所(東京都新宿区)の調査によると、2018年の紙の出版物の推定販売金額は前年比5.7%減の1兆2,921億円で、これは14年連続のマイナスだという。

 一方、電子書籍は増えている。こちらは前年比11.9%増の2,479億円だ。電子書籍では特に電子コミックが14.8%増と健闘している。しかし、紙と電子の両方を合わせても、書籍の売り上げは年々減少している。両方を合わせた推定販売金額は2015年から2018年まで順に、1兆6,722億円、1兆6,618億円、1兆5,916億円、1兆5,400億円と確実に減少しているのだ。

 したがって、紙の書籍が売れなくなっているのは読者が電子に移行したのではなく、本そのものが読まれなくなってきているためだ。しかし、だからこそ、紙の本にもっと注目してもらおうと工夫する書店が登場してきている。その中にはユニークな取り組みで話題になっている店もある。

 たとえば、ただひたすらマンガに没頭できる空間と時間を提供する「漫泊」なるキーワードを掲げた書店、いやホテルが登場している。

1 2 3

「泊まれる本屋や入場料を払ってでも入りたい本屋。出版不況にあらがうユニークな書店の奮闘」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。