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非正規教員の使い倒し 根本的な問題は教員の労働環境に?

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内田 良/名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授。博士(教育学)
専門は教育社会学。学校のなかで子どもや教師が出遭うさまざまなリスクについて,調査研究ならびに啓発活動をおこなっている。 著書に『学校ハラスメント』(朝日新書),『ブラック部活動』(東洋館出版社),『教育という病』(光文社新書),『教師のブラック残業』(学陽書房,共編著)など。ヤフーオーサーアワード2015受賞。

内田「そもそも非正規教員が多い理由は2つあります。1つ目は経費削減。地域によって呼び方は変わりますが、一般的に言うと“講師”あるいは“専任講師”というのは、非正規でありながら、フルタイムで部活の顧問や担任業務など正規の教員と同じ働き方をしています。それでいて給与は低いので、学校側としては使いやすい、予算的にもありがたい人材になります。

 もう1つは、少子化なので正規教員をむやみに増やせません。もし大量採用してしまうと、特定の年代の教員が増えてバランスが悪くなる可能性があります。そのことを気にして、調整弁として非正規教員を採用し、様子見をしている自治体は多いですね」

――非正規教員を増やすことは、学校にとってメリットばかりということなのですか。

内田「いえ、非正規の講師を採用するということは、教員採用試験に受かっていない人を採用するということです。試験に通らない人が正規教員と同じことをしているのは、普通に考えたら危ういですよね。それは教育現場としてまず問われなければいけないことです。子供数の減少もあるので大量採用は難しいですが、それでもちゃんと試験に通った人を正規で採用することは大切でしょう」

――正規教員と非正規教員の採用過程には、どのような違いがありますか?

内田「非正規教員は今はすごく“売り手市場”なので、誰でも通ってしまう状況になっています。普通の教員採用試験では教育委員会も厳しい姿勢で実施しますが、試験に落ちた途端に『どうか非正規教員としてうちに来てください』というふうに、教育委員会の物腰はかなり低くなります。毎年のように教員採用試験を落ちている人や70歳を超えた人でも『非正規教員をやってください』と懇願されるほどです。

 最近では教員を目指す若者が減少しているので、競争する必要がなく本当に誰でも教壇に立ててしまいます。ただでさえ教員採用試験を落ちた人を採用し、落ちた人でさえ人材が枯渇していているので、『教員免許さえあれば良い誰でも良い』という状態になっています」

――非正規教員の雇い止め問題を解消するための改善策はどのようにお考えですか?

内田「まずは、少子化を見込んで正規採用を絞るのではなくて、正規教員も増やすべきだと思います。ただ、教員免許を持っていれば誰でも採用されてしまう状況になっているのは、教員を目指す人が減っているからです。その原因は教員の仕事の多忙さにあります。労働環境を良くすれば、正規や非正規に関係なく募集が増えるので、教育の質を高く維持することができます」

 やはり行き着くところは、労働環境の改善に他ならない。教員を目指す若者が減りゆけば、教育の質自体が低下していく。子供は国の宝だというのであれば、ここに重点的に予算を割かなければ、国の未来はない。

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