社会

学校行事は誰のため? 教員の負担増、書類改ざん等の問題も指摘

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――なぜ学校行事の事前準備に多くの時間をかけるのですか?

内田「学校行事は、保護者や来賓、地域住民に“見せる”ことが大事なんです。完成度の高い学校行事を見せることが、学校の評価を決めると教師達が考えています。そのため、学校行事は生徒ファーストではなく、外部の人達に向けたものになっていて、その中でも特に保護者の視線を気にしています」

――それは、モンスターペアレンツのような一部の保護者からのクレームを教師達が非常に恐れているということでしょうか。

内田「モンスターペアレンツというところも大事ですが、教師達は特定のクレーマーに怯えているだけではなく、保護者全体に怯えている印象を受けます。とにかく『保護者に良いものを見せなきゃいけないんだ』という、曖昧かつ漠然とした恐怖感や緊張感を感じているように思えます。現実には学校行事に期待していない保護者もいるんですけどね。

 また、学校行事に保護者だけでなく子供が感動することもあります。その様子を見た教師が『学校行事は子供を成長させる場なんだ』という気持ちになって、ますます学校行事に力を入れてしまうこともあります」

――学校行事で感動する生徒も、一部のように思えるのですが。

内田「その通りです。組体操なんて典型例です。良い思い出だと語る子供もいますけど、『土台がしんどかった』『高いところに登ることが怖かった』という声も山ほど出てくるんですよね。卒業式でも『お辞儀の角度なんて別に良いじゃん』『なんで同じタイミングで立ち上がらなければいけないんだ』という声も聞かれる。けれど、一部の保護者と生徒の感動のために入念な準備がなされています」

――今後の学校行事の在り方についてどのようにお考えですか?

内田「まず教科等の授業時数を読み替えてごまかしていくのではなく,現実に正直な時数を見える化することが大事です。そして、そもそも子どもは大人の見世物ではないはずです。簡素なものでも良いからそれを学校行事として堂々とやっていく姿勢が大事です。

 教育現場の労働環境も厳しくなっているので、学校行事ができるだけ教師達の負担にならない点を基準にする必要があります。授業時数が減少し教師達の負担になっているため、学校行事が簡素になってしまうことを保護者が理解するようになれば、入念な事前準備は必要なくなると思います」

――すでに学校行事の簡素化に取り組んでいる学校もありますか?

内田「運動会を半日にする取り組みは様々な自治体や学校がおこなっています。時間が短くなることで種目も少なくなり、練習時間も減らすことができます。また、卒業式で最も大切なのは卒業証書の授与ですから、起立のタイミングや歌の完成度にこだわらないようになってほしいです。感動を呼ぶためのセレモニーはできるだけ省くことが必要です」

 まもなく平成も終わる。時代とともに働き方やコミュニケーションなど様々なものが変化しつつある。にもかかわらず、学校で行われていることが30年前とあまり変わらないとしたら、教育現場の見直しは必然だ。見栄や感動のための入念な学校行事準備が、生徒や教員にとって本当に必要なものかどうか、よくよく考えるべきだろう。

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