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所ジョージの「公的年金への不満」はなぜ発生する? 「年金=悪」と決めつけないで

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生き延びるためのマネー/川部紀子

 ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。タレントの所ジョージさんが、4月3日に放送された『ホンマでっか!?TV 2時間SP』(フジテレビ系)でご自身の公的年金についてボヤいていました。所さんのボヤキは、次の3点にまとめられます。

  1. ①稼ぎがいい人の年金は4万7000円しかもらえない。
  2. ②デビュー当時、給料が10万円でも年金を納めてきた。
  3. ③介護保険料として5万1000円支払っているので4000円赤字。

 筆者としては、所さんに質問や確認をしたいことが多々あります。一般的な社会人は、年金の勉強をする機会もなかなかないと思いますので、今回は所さんの発言を通じて、年金の知識の一部をお伝えしていきます。

稼ぎの良い人の年金は4万7,000円しかもらえない

 老後の公的年金は2階建てになっています。日本国内に住む全ての人が加入する1階の「国民年金」と、会社員などが加入する2階の「厚生年金」があり、どちらも65歳から受け取るのが基本型です。

 ただし例外もあります。「特別支給の老齢厚生年金」といって、昭和36年4月1日以前に生まれた男性、昭和41年4月1日以前に生まれた女性に関しては、65歳前であっても一部または全部受け取れるルールがあるのです。

 日本タレント名鑑によれば、所さんは昭和30年1月生まれの64歳。この生年月日だと、「特別支給の老齢厚生年金」を61歳から受け取っている可能性があります。とはいえ、タレントは事務所と雇用関係にない、個人事業主であるケースが多々あります。ずっと個人事業主で、厚生年金に加入したことがない場合は、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることはできません。ただ所さんほどの大物であれば、自ら会社を経営する社長かもしれません(通常、厚生年金に加入)。その場合は、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取っている可能性もあります。

【ここまでのポイント】
・公的年金は「老齢基礎年金(国民年金)」と「老齢厚生年金」の2階建てで65歳から受け取れる
・ただし、昭和36年4月1日以前に生まれた男性、昭和41年4月1日以前に生まれた女性は65歳前に一部・全部を受け取れる

 「稼ぎが良い人は~しかもらえない」と発言しているのは、「在職老齢年金」のことと思われます。「在職老齢年金」とは、60歳以降に働きながら受け取る厚生年金のことです。ザックリ書くと、月の年金額と年収を12で割った額を足して28万円以上になった場合、受け取る年金が減額されるというもの。逆に言えば、28万円以下なら、年金をカットされることはありません。

 例えば、月の年金額が30万円で、年収÷12が50万円の場合、年金はわずか月3万5千円しかもらえません。年金だけなら非常に残念な金額ですが、月に50万円も稼いでいるのでいいでしょう、と国が判断しているということですね。

 ちなみに、この在職老齢年金の制度は廃止が検討されているので、所さんもカットされずに受け取れる日が来るかもしれません。

【ここまでのポイント】
・60歳以降、収入によりカットされた年金を「在職老齢年金」(厚生年金)という
・月の年金額+年収÷12が28万円を超えると年金がカットされる

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