
東芝公式サイトより
電機・エレクトロニクス業界において、時代のニーズを取り込みながら変貌を遂げてきた企業を紹介するシリーズ。今回は「東芝」だ。
東芝は、これまで取り上げてきた会社のような「鮮やかな変身を遂げてきた」会社とは言いにくい。しかし、業態が大きく変わった(変わってしまった)企業として、そしてこれからさらに変わっていかなければ生き残れなくなった企業として、このコラムでは外せない。
東芝は日本を代表する総合電機大手であり、知らない日本人は誰もいないだろう。実際にかつては国内の多くの家庭に、テレビ、冷蔵庫など白物家電、パソコンなど何かしらの東芝製品があったはずだ。しかし、東芝は今ではこれらすべての事業を売却している。我々の身の周りのなかで、東芝が手がけている製品は実はもう残っていない。ブランドは残っているが、いずれも売却しており、東芝ブランド製品は東芝製ではない。東芝はすでに家電メーカーではないのだ。
東芝が現在、主に手がけているのは、エレベーターなど社会インフラのソリューションビジネスである。個人向け(BtoC)ではなく、法人向け(BtoB)ビジネスを中心に切り替え、大きく規模を縮小して生き残っている。
20年前、今日の東芝の姿を誰が想像できただろうか。パナソニック、ソニー、日立製作所などと並ぶ大手電機メーカーだったが、すっかり色あせてしまった。
そして今、東芝は新たな経営危機を迎えている。これまでにも何度も正念場といわれ続けて、なんとかここまでクリアしてきたが、さらにここにきて新たな難題が表面化している。
東芝の変貌ぶりを紹介する前に、まずはこの直近のトラブルを採り上げておきたい。