『赤狩り』〜テロより怖い監視国家の脅威、その源流は冷戦時代にあった

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さらに脅威を増す国の監視システム

 この皮肉な現象は、今も起こりつつある。テロリストの脅威から自由な米国社会を守るとして始めた対テロ戦争は、国内で巨大な監視システムを生み出し、市民の自由を脅かしている。かつてのFBIが特定の容疑者を追跡する従来型の監視だったのに対し、現在の米政府は、ジャーナリストの小笠原みどり氏が指摘するように、すべての人々をテロリスト予備軍とみなす。内心の表れであるコミュニケーションを盗み見る方針へと転換したのだ。事態はより深刻といえる。

 スノーデン氏は「監視はどんな時代でも最終的に、権力に抗する声を押しつぶすために使われていきます」(小笠原みどり『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』〈毎日新聞出版〉)と警鐘を鳴らす。

 日本でも2000年に盗聴法(通信傍受法)が施行されている。警察が国民を盗聴することを合法化するもので、当初、捜査対象は組織犯罪と限定され、裁判所の令状、通信会社の立ち会いという手続きも必要だった。しかし2016年に改定され、捜査対象は大幅に拡大し、通信業者の立ち会いを省略して警察が盗聴できるようになってしまった。

 テロリストを取り締まるという名目で構築された政府の監視システムが、国民全体を標的とする——。テロより怖いそんな監視国家の脅威は、決して他人事ではない。

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