社会

2年7カ月逃亡した市橋達也 リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件【高橋ユキ裁判傍聴】

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「Getty Images」より

 天皇陛下の生前退位により、30年の歴史を終える「平成」。5月1日から新元号「令和」に改元される。バブルの崩壊とともに始まった平成を、各紙がさまざまな視点から回顧している。

 筆者は2005年(平成17年)から、主に刑事裁判を見つめ続け、傍聴ライターとして稼働してきた。本記事では、これまで傍聴してきた刑事裁判を1年に1件ずつ紹介しながら、平成の事件を振り返ってゆきたい。

【平成の事件07】リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件

<2011年傍聴@千葉地裁>

 2007年3月26日夜、千葉県市川市にあるマンション一室のベランダに、土の入った浴槽が置かれ、その中に女性が死んでいるのを警察官が見つけた。女性はイギリス人の英会話講師、リンゼイ・アン・ホーカーさん(22=当時)。

 ルームメイトからの行方不明の相談を受け、部屋に残されたメモなどを頼りに、警察官がマンションを訪れた際、遺体を発見した。この直前、応対した住人・市橋達也(28=当時)は、自宅前で職務質問しようとした警察官を押しのけ逃走。その後、2年7カ月にわたり逃亡を続けた。

 のちに大阪南港フェリーターミナルで身柄を確保され、強姦致死や殺人などで起訴された市橋に対する裁判員裁判は2011年7月4日から始まった。

 罪状認否で「私はリンゼイさんに対し、殺意はありません。しかしリンゼイさんの死に対して責任はあります。私はその責任は取るつもりです」と述べる。二人の出会いは電車内。行徳から西船橋までの電車にたまたま乗り合わせていただけの関係だったが、市橋はリンゼイさんを電車内でじっと見つめ、西船橋でリンゼイさんが降りると後を追った。

 自転車で帰宅するときも走って追いかけてきてリンゼイさん宅に上がり込んだ。水を飲み、似顔絵を描き、1時頃リンゼイさん宅を出たという。リンゼイさんはこの直後「すごく変な人に会った。電車に乗ったら変な男が見つめてて、電車を降りたら話しかけてきた」と友人に電話で語っている。

 事件のあった日、市橋はリンゼイさんに英語のプライベートレッスンをしてもらう約束を取り付けていた。駅前のコーヒーショップでレッスン後「レッスン代を忘れた」と市橋は自宅までリンゼイさんを同行させ、部屋に連れ込み犯行に及んでいる。玄関脇には、あらかじめ輪の形にした結束バンドやコンドームが置かれていた。

 市橋は公判で、よく涙を見せた。なぜかガタガタ震える様子も多く見せたが、法廷通訳が訳しているときは震えが止まっており、あの震えは演技だったのか具合が悪かったのかはわからない。判決は無期懲役。控訴したが棄却。上告せず2012年確定。

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