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サイゼリヤ「ミラノ風ドリア299円」の顧客目線がネックに? 客単価は730円程度でほぼ固定

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サイゼリヤ 渋谷東急ハンズ前店(編集部撮影)

 “安くて美味しい”と高コスパがウケているイタリアンファミリーレストラン「サイゼリヤ」だが、その雲行きが怪しくなっている。

 サイゼリヤは、299円(税込)の「ミラノ風ドリア」をはじめとした圧倒的な低価格と、イタリアンという1ジャンルに特化した形態で人気を博し、ファミレス界に確固たるポジションを築いた。今では全国に展開する人気チェーン店の印象が強いサイゼリヤが、業績不振だといわれてもピンとこない方も多いかもしれない。

 サイゼリヤは、2020年の健康増進改正法全面施行に伴い、店舗の全席禁煙化を段階的に進めている最中。2019年9月には全店全席禁煙に移行を完了する予定だ。そのための費用の増加に加え、食器の入れ替えやエネルギー価格の高騰による光熱費の上昇などもあり、2019年9月期第二四半期の営業利益は約35億円(前年同期比5.7%減)、経常利益は約38億円(前年同期比2.3%減)など、業績は低迷しつつある。

 しかし禁煙化の波はファミレスを含む飲食業態全体を襲っている。堅調な業績を残しているチェーン店も多いなか、なぜサイゼリヤが目立った業績不振に陥っているのか。株式会社スリーウェルマネジメント代表・飲食コンサルタントの三ツ井創太郎氏に話を聞いた。

禁煙化による客離れ……その対策に遅れを取った

 サイゼリヤの業績不振について、三ツ井氏は次のように分析する。

「サイゼリヤの客数データをみると2017年12月から2019年3月まで、16カ月連続で既存店客数が前年対比100%を割り込んでいる状況です。さらに細かく分析していくと、禁煙化を進めた2018年7月は既存店客数が前年対比94.8%にまで落ち込み、その後もなかなか客数、売上共に取り戻せていない状況が続いています。このデータを見る限り、禁煙化の影響は少なくないと言わざるを得ません」(三ツ井氏)

 しかし他のファミレスを含む飲食店でも禁煙化は進んでいる。サイゼリヤの業績不振が目立つ理由のひとつには、低価格路線でここまで来たことの影響があるという。

「サイゼリヤだけでなく、『ココス』や『ジョイフル』といった他のファミレスチェーンも、禁煙化を開始した月には大きく既存店客数が減少しています。しかし、他のファミレスチェーンはシーズンフェアメニューや、旬の食材を使ったデザートなどの新商品を強化し、商品付加価値を高め、来店動機と客単価を上げることで売上を伸ばす戦略に力を入れています。実際に他チェーンの客単価データを確認すると、禁煙化後に客単価が増加している傾向が見られ、こうした戦略はある程度の成果を出していると言えます。

 一方、サイゼリヤの客単価データを見ると、730円程度からこの1年間で大きな変動はありません。他チェーンと比べて低価格に惹かれて足を運ぶ人が多いため、フェアメニュー強化などによる客単価アップ戦略が取りにくいという実情もあります」(三ツ井氏)

 つまり、もともと低価格路線でやってきたサイゼリヤは、商品の原価率なども他店より高く、そこからさらに付加価値をつける商品の開発をする余裕がないようだ。これが、禁煙化によって離れてしまった客足を取り戻すことに苦戦しているひとつの要因ということだろう。

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