筆者も同様に、この記者会見を視聴してマスコミの姿勢に疑問を覚えたひとりだ。特に、「今回の事故現場は昔から危ない場所だと認識していたか?」というまるで保育園側が悪者であるかのような質問が出たことには激しい憤りを感じた。今回の事故に保育園側の落ち度はないだろう。この質問は保育園関係者をさらに追い込む言葉の暴力と言えないだろうか。
タレントのつるの剛士も「被害に遭われた保育園の園長先生の記者会見みてられない。悲しみの真っ只中の記者からの質問攻め、見てられない」とツイートしている。
昨年大きな話題を集めた日大アメフト部のタックル問題で、タックルを仕掛けた日大の選手が記者会見を開いた時、「監督、コーチはどんな存在?」「監督、コーチから理不尽も多々あった?」など、監督とコーチが悪者であると誘導しようとする質問が繰り返された。真実を聞き出すのではなく、話題性のある回答を口走ることを期待する記者の姿勢に呆れ返る視聴者は多かったはずだ。
ただでさえ被害者遺族やその関係者が言葉をつまらせながら涙ながらに話す様子は見ていて非常に心苦しい。先日も池袋で起きた交通事故で母子を亡くした男性の記者会見が注目を集めたが、被害者遺族や被害者の関係者が公の場に顔を出し、記者からの配慮に欠けた質問にさらされる会見に、一体どんな意義があるだろうか。
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