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犬猫殺処分は、暗躍する“死の商人”たちを根絶しない限りなくならない

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「Getty Images」より

 東京都福祉保健局は4月5日、「2020年に向けた実行プラン」で2019年度に目標としていた動物の殺処分ゼロを、2018年度に前倒しで達成できたことを発表した。

 発表によると、2015年度~2018年度までの犬の年間殺処分数は10匹、0匹と推移し2016年度にはゼロを達成。猫も193匹、94匹と16匹、0匹と推移しており、2018年にゼロを達成したのである。

 行政と民間ボランティアの努力により、殺処分は著しく減少している。しかし、殺処分ゼロはあくまで公共施設による成果だ。これだけでは解決できない問題が残っている。

激減している自治体の殺処分 

 東京都福祉保健局では殺処分ゼロを目指して、飼い主に対する啓蒙活動や飼い主のいない犬猫の譲渡先確保に取り組んできており、そのための登録団体は50を超えている。

 この活動の結果、攻撃性の強さや病気などにより飼育が困難と判断されて安楽死させた場合を除けば、殺処分はゼロになった。

 それでは全国ではどのような状況だろうか。

 環境省の統計資料によれば、全国的にも殺処分数は劇的に減少している。2007年度の犬の殺処分は9万8556匹、猫は20万760匹で計29万9316匹だった。だが10年後の2017年度になると犬は8362匹(10年前の8%)、猫は3万4854匹(10年前の17.4%)で計4万3216匹(10年前の14.4%)にまで減らすことができた(環境省統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」)。

 それでもまだ、2017年度は合計4万3216匹が殺処分されているわけだが、10年前に対してわずか14.4%にまで減少していることは大きな成果だと評価されるだろう。東京都以外でも、殺処分ゼロを達成する自治体は増えてきている。

 問題は、殺処分数減少の影で見えにくくなっている課題だ。たとえば、飼い主から捨てられた犬猫の路上事故死や虐待による死、飼い主の高齢化に伴う入院や死亡により餓死する犬猫も後を絶たない。

 また、ペット産業の裏側で行われている不適切な繁殖飼育や不適切な流通ストレスによる死亡も多い。ここには、動物をペットショップやホームセンター、あるいはブリーダーなどから購入するという入手手段がある限り根絶できない問題がある。

殺処分を免れた動物たちの保護も手一杯

 多くの課題が残されているとはいえ、とりあえず殺処分については、大きな成果が出てきた。次の問題は、殺処分を逃れた犬猫を快適な環境で天寿を全うさせられるかどうかに移る。殺処分数の減少は裏を返せば、保護施設やボランティア団体が保護している犬猫の数が増えてきているという意味だからだ。

 しかし、どの施設も団体も、おそらくもはや手一杯なのだ。犬猫を保護するためには、物理的なスペースと、餌や排泄物処理・治療費などといった経済的負担がかかる活動が伴う。これらの施設や団体の支援も検討せねばならないが、そもそも保護しなければならない犬猫が次々と現れることに問題がある。キリがないのだ。地域猫に関しても、去勢や避妊を進めていかなければ、野良猫は減らない。

 ここで問題の根源として浮かび上がってくるのは、お金さえ出せば、誰にでも犬猫を供給してしまうペット産業の存在だ。

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