犬猫殺処分は、暗躍する“死の商人”たちを根絶しない限りなくならない

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“死の商人”パピーミルブリーダーとは?

 犬猫を繁殖させてペット店などに子犬や子猫を供給している業者をブリーダーと呼ぶ。ブリーダーにはシリアスブリーダーとバックヤードブリーダー、そしてパピーミルブリーダーの3種類がある。

 シリアスブリーダーはいわゆるプロのブリーダーで、特定の種に関して専門的な知識を持ち、その種の保存のために飼育環境を整え、健康管理を行いながら繁殖させている。

 バックヤードブリーダーとは素人のブリーダーで、趣味として自分が飼っている犬や猫に子どもを産ませている。専門的な知識はないため、単なる動物好きが小遣い稼ぎでやっているようなものだが、これがお金を儲けることに味をしめると、パピーミルブリーダーになる可能性がある。

 そして、このパピーミルブリーダーが最大の問題だ。パピーミルブリーダーは「子犬工場」と訳されることが多く、金儲けのためだけに動物を無理やり繁殖させている。そこには動物に対する愛情はない。特に犬を対象としていることが多く、親犬を生きていける最低限の餌と空間で飼い、大量に子どもを産ませようとする。

 シリアスブリーダーの場合は母体の健康管理のために、生涯の出産回数を調整するなど配慮するが、パピーミルブリーダーは母体の健康には一切関心を示さず、限界まで乱繁殖させる。しかも排泄物まみれの不衛生な狭い空間で散歩にも連れて行かず、病気になったり繁殖できなくなったりすれば捨てる。

 そのうえ安く品質の悪い食事を最低限の量だけ与え、本来面倒をみきれないほどの頭数を飼っている。動物に関する知識も乏しく、本来は制限しなければならないインブリーディング(近親交配)も行っている。そのため、先天性もしくは劣悪な環境による後天性の病気を持つ個体が生まれることが多い。そのような商品価値がないと判断された子犬は不法に処分されていく。パピーミルブリーダーは不法遺棄事件や多頭飼育崩壊の原因になっているのだ。

 彼らは血統書も偽造して売っているという。このようなパピーミルブリーダーが存在しているのは、彼らから安価に子犬を仕入れているペット店があることを示している。

「引き取り屋」の登場

 ペット店に常に展示されているのは愛らしい子犬や子猫たちで、成体はいない。それでは子犬・子猫のうちにすべて売れているのかというと、そのようなことはない。売れ残る子犬・子猫も多くいる。

 ペット店側にすれば、売れ残った商品価値のない動物を飼っておくスペースと餌代は無駄なコストになってしまう。以前は、売れ残った子犬や子猫を保健所に持ち込んでほとんどが殺処分されていた。

 ところが、2013年に動物愛護法が改正されると、ペット店やブリーダーなどの業者が保健所に動物を持ち込むことができなくなった。(環境省 平成24年に行われた法改正の内容「動物愛護管理法第35条関係」)

 そこで、「引き取り屋」と呼ばれる業者が登場した。引き取り屋は、売れ残った犬猫を数千円~数万円の代金を受け取って引き取る業者だ。彼らは動物保護のためにそのようなビジネスを行っているのではない。パピーミルブリーダーと同様、単なる金儲けのために活動している。

 引き取った子犬や子猫は、狭いケージに放り込まれ、死ぬまで放置される。餌は十分に与えられず、排泄物の清掃も行われない。当然散歩などあり得ず、ただ死ぬのを待たれるだけの存在となる。あるいは山の中に捨てられることもある。

 雌の場合は悪質なブリーダーに5000円~2万円ほどで売却されることもある。その後は、産めなくなれば死ぬまで劣悪な環境下に放置される。つまり、冒頭に紹介した殺処分ゼロ目標が、「引き取り屋」という業者を生み出してしまったとも言える。

 今のところ「引き取り屋」のビジネス自体は違法ではないが、引き取った後の動物の扱いは虐待になっている可能性はかなり高い。ただ、一部には、引き取った犬の散歩と保管場所の掃除を毎日行っている業者がいることも報じられている。

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