社会

今どきの大学生はラーメン1杯も食べられない? 学生の生活水準低下が炙り出す日本経済の実態

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「Getty Images」より

 首都圏の学校に通う大学生の生活水準低下が著しい。地方出身者の場合、その傾向はさらに顕著となっており、仕送り額から家賃を除いた生活費は1日あたり677円とラーメン1杯も食べられない金額である。

 大学生の生活状況を見ると、今の日本経済の様子が手に取るように分かる。 

アベノミクスで世帯年収は増えたのに仕送り額が激減

 私立大学の職員らで構成する東京地区私立大学教職員組合連合は、毎年、関東圏内にある私立大学の学生と親の経済状況に関する調査を行っている。2018年度の調査では、親の仕送りから家賃を差し引いた金額が月額2万300円と過去最低を記録した。1日当たりの金額に換算すると667円にしかならない。

 生活費が少なくなっている最大の理由は、親からの仕送りが減ったことである。親からの仕送りは、1990年代には13万円近くあったが、現在では約8万3000円と大幅に減少している。仕送り額は1994年以降、一貫して減少が続いており、持ち直す傾向はまったく見られない。

 親からの仕送りが減ったのは親の収入が減ったことが主な要因と考えられる。バブル崩壊以降、日本社会は貧困化が進んでいるので、これはうなずける話だが、世帯年収の推移と仕送り額は必ずしも比例しているわけではない。

 1993年における親の世帯年収は1072万円だった。自宅ならまだしも地方から首都圏の私立大学に子どもを通わせるにはそれなりの財力が必要なので、この年収は相応な水準といってよいだろう。その後、バブル崩壊とともに年収は低下しているが、もっとも低かったリーマンショック後でも800万円台後半を維持している。しかも、アベノミクスがスタートした2013年からは一気に上昇しており、2018年には940万円まで回復した。

 つまりバブル崩壊からリーマンショックまでは世帯年収の低下と仕送り額の減少が一致していたが、アベノミクス以降は、世帯年収は増加しているのに、仕送り額は減少していることになる。

 全世帯の平均年収は大幅に低下しているので、今の時代において年収940万円というのはかなり裕福な部類に入るといってよいだろう。それにもかかわらず、なぜ仕送り額が激減しているのだろうか。

デフレであるにもかかわらず家賃は年々上がっている

 まず最初に考えられるのが学費の高騰である。しかし近年、大学の授業料は上がっているが、上昇が激しかったのは2000年代前半までで、その後はわずかしか上昇していない。

 2017年における国立大学の年間授業料は53万5800円で、私立大学は90万93円(平均)だった。6年前の2011年における国立大学の授業料は今と同じ53万5800で、私立大学は85万7763円だったので、大きく上昇したわけではない。この調査でも初年度納付金の額はわずかに増えている程度である。

 そうなると学費の高騰によって生活費を削っているという図式は成立しなくなる。

 これ以外に考えられるのは家賃の高騰である。1990年の調査では毎月の家賃額は4万8300円だったが、2018年は6万2800円とかなり上昇している。過去4年を取っても1200円上昇しているので、確実に家賃は上がったといってよい。1990年はバブルのピークだった時で、当時の不動産価格は法外だったが、それでも単身者向け物件の中には格安なものがあり、平均的な家賃はかなり抑えられていたことが分かる。

 バブル崩壊以降、不動産価格は下落の一途だったが、少なくとも学生が住む単身者向けの家賃は上昇している。建て替えが進み、スペックの高い物件が増えたことなどが影響している可能性が高い。

 以上を総合すると、親の年収はアベノミクス以降、上昇しているが、家賃や学費がジワジワと上がっていることから、親は仕送り額を抑制しているという図式が見て取れる。だが、年収が増えているにもかかわらず、仕送りを減らしている理由はそれだけではないだろう。もっとも大きいのは将来への不安と考えられる。

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