社会

中高年の引きこもりと「8050問題」 介護従事者の間では以前から指摘されていた

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引きこもりから社会復帰できたきっかけとは

 しかし、内閣府の調査では、引きこもりから社会復帰した人たちの「きっかけ」についても多く記載している。ここでは一部のみ紹介するが、必要な人は『生活状況に関する調査(平成30年度)』を確認してほしい。

 まず、就職や転職をきっかけとして復帰した人の回答例は以下の通り。

・粘り強く職安で自分ができそうな仕事を探したこと
・資格を取得し、就職をしたこと
・新たな業種でもトライして就活をしたこと
・雇用促進機関(ハローワーク等)に通ったこと
・自分に向いている仕事を探したこと

 次に、家族や友人の助けがきっかけとなった人の回答例は以下の通り。

・同じ境遇にあった人と出会い、自分1人だけじゃないと思えたこと
・家族とのコミュニケーションが増えたこと
・娘が食事や買物など、外出する時、よく誘ってくれたこと
・家庭を守りたかったこと

 そのほかのきっかけも一部紹介する。

・コンビニ、スーパーなどでレジの方に、話しかけるように努力したこと
・人との交流で、回復したこと
・社会と関わりたいと思ったこと
・会社外の人にふれ、いろんな人がいるんだなぁ、と思ったこと

 いかがだろうか。身近に引きこもりの人がいたり、ご自身が引きこもりである場合、これらの例は社会復帰へのヒントになるかもしれない。

内閣府の調査の意義

 今回の内閣府の調査は、あくまで一部のサンプルから推定値を出しているだけなので、この約61.3万人という数字を批判する人たちもいる。

 しかし、今回の調査は、中高年の引きこもりの存在をクローズアップできたという意味では、その意義は大きいのではないだろうか。そして、「8050問題」を裏づけたという意義もあるだろう。中高年の引きこもり当事者は、これから親の高齢化や介護、死亡に直面することになる。問題はより一層深刻化するのだ。

 かといって、長い年月引きこもっていた中高年者が社会復帰して自立することは容易ではない。場合によっては精神的な疾患や知的な障害を抱えていることもあるのだ。

 最も切実なことは、彼らが社会から孤立してしまうことだ。最悪、前述のような親の死体を子が遺棄する痛ましい事件がまた起きないとも限らない。

 したがって、行政による経済的な支援もさることながら、同じ悩みを持つ者同士が助け合える場や、自立のための選択肢が用意される機会も必要になってくるだろう。今回の調査が、引きこもってしまった中高年者の社会復帰を助ける仕組み作りに役立つことを願いたい。

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