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高齢者ドライバーに必要なのは講習ではなく試験ではないか

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「Getty Images」より

 先日、自宅の近所を車で移動している途中、片側2車線でコンクリート壁の中央分離帯がある道路を走っている時のことだった。

 私は右車線を走っていたのだが、前を走っていた車が急ハンドルで左車線に移動した。何事か、と思った瞬間、前方からこちらに向かって車が逆走してくるではないか! すぐさま左側に車がいないことを確認して私も車線変更した。

 逆走してきた車の運転席を見ると、白髪で眼鏡をかけた高齢女性が助手席の高齢女性と引きつった笑顔のまま運転していた。どうやら自分が逆走していることに気づいているように見えた。すれ違った後、ミラーを見ると、私の後続車も次々と車線を変えて逆走車から逃れていた。

 おそらく、どこかの十字路で右折した際に、入るべき車線を間違えたのだろう。高齢になると空間認識能力が衰えるため、大きな交差点で手前の反対車線に突入してしまう危険があるのだ。

高齢者ドライバーによる事故

 このところ、高齢者ドライバーによる悲惨な事故のニュースが続いている。特に注目されたのは、2018年5月28日に神奈川県で起きた90歳(当時)の女性ドライバーが赤信号を無視して横断中の歩行者4人を跳ねた事故だ。女性一人が死亡し、他の3人が軽傷を負った。

 この事故は多くの高齢者が、免許証返納を考えるきっかけになったとされている。

 悪質なのはドライバーの判断だ。赤信号とわかっていながら、誰もいないから通過したのだという。

 最近では2019年4月19日に、池袋で旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87歳)の車が約150メートルを暴走して横断歩道に突入し、死亡者2名と重軽傷者8名を出す惨事になった。このとき、ドライバーはブレーキすら踏んでいなかったことがわかっている。どうやら縁石に乗り上げたことをきっかけに暴走したようだ。

 その結果、横断中の母娘が乗る自転車を真っ二つに折るほどの勢いで跳ね、その後ゴミ収集車に衝突し、再び横断中の数名をひいてからトラックに衝突してようやく止まった。

 この事故は大いに注目された。それは、高齢者ドライバーだからというだけではない。ドライバーが元上級官僚であること。救命義務を怠ったにもかかわらず事故後に逮捕されなかったこと。事故直後に警察と消防ではなく息子に電話していたこと。メディアが加害者を「さん」付けで報道したこと。ドライバーのTwitterとFacebookのアカウント、そして経産省の受勲ページが事故当日に速やかに削除されたこと。自宅の電話番号が変更されたこと。そして、Googleストリートビューでドライバーの自宅にモザイクがかけられたことなどがネット上で話題に上り、謎が多いことから大いに注目を浴びた。

 そして同月21日。神戸市の三宮駅前で64歳のドライバーが運転する市営バスが横断中の歩行者をひき、8名が死傷する事故が起きた。こちらは即座に逮捕されている。高齢者ドライバーの事故は防げないのだろうか。

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