父親業も仕事も大学院も…やる気に満ちていた男性が、双極性障害になって

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1日18錠の投薬。これまでの自分を否定された気持ちに

 夫の異変に気付いた美佳さんは、日記に細かく健二さんの様子を記録するようになる。

 「だるそう」「眠れない様子」「食欲もない」。数日後、「気持ちが悪く、吐き気がして息苦しい」と打ち明けた健二さんに、「精神的なものだと思い、病院をすすめた」とある。

 一方の健二さんは、この頃のことは曖昧にしか覚えていないという。

「闘病中の記憶がごっそりと抜けてしまっているんですよね。どうにも体がおかしくて、駆け込み寺に行くように近くのクリニックを訪ねたのは覚えています。でも、睡眠薬と精神安定薬を処方されて『しばらくちゃんと睡眠をとればよくなりますよ』って言われたけど、そんなことで治るとは思えなかったんです」(健二さん)

 一向によくならなず、健二さんは病院を変えた。比較的規模の大きな病院の精神科に美佳さんと改めて受診してみたところ、ついた病名は「躁鬱病(双極性障害)」だった。

 どこか納得した美佳さんと違い、健二さんを襲ったのは「そんなはずはない」という気持ちだった。

「躁鬱病となれば、会社も病欠扱いにしてもらって休むことはできる。ホッとする一方で、忙しくすることで病名がつくなら、これまでの自分はなんだったんだという気持ちにもなりました」(健二さん)

「夫は、病名が付いて不安そうにしていましたね。でも私は明らかにいつもと違うと思っていたから、お医者さんにも症状を話して。それに、これまでほとんど寝ずにほぼ1年間過ごしていたことや、資料として本を70万円分も買っていたことなども話したら『典型的な躁状態ですね』と。そこから一気にお薬が増えて。最も多い時期で1日18錠の薬を飲んでいました」(美佳さん)

 本格的な投薬治療が始まると、躁状態を抑える薬の副作用もあり、健二さんの調子は良くなるどころかむしろ、むしろ一気に崩れていったように見えた。

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