リニア中央新幹線の運賃は意外と安い? 期待される利便性と「スーパー・メガリージョン」構想

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 2027年、リニア中央新幹線が開通すれば、日本の交通事情が一変する。60年以上の研究開発を経ての実用化となるリニアだが、最高速度は時速500kmにまで達し、最初に開通する品川から名古屋までを40分でつなぐことができる。移動時間だけみれば、もはや品川と名古屋は通勤圏となるのだ。

 その結果、2つの経済圏が1つになり、巨大な東名経済圏となる。それだけではない。さらに8年後(さらに前倒しが目指されているが)には名古屋から大阪まで延伸し、品川から大阪まで67分でつながるというから、さらに巨大な経済圏が誕生するだろう。

 リニア中央新幹線については、談合問題や環境問題、財政問題などさまざまな問題が取りざたされているが、今回はそれらの問題を横に置き、誕生する経済圏や現在の新幹線との関係について見てみる。

意外に安いかもしれない運賃

 リニア中央新幹線は東京から名古屋、そして大阪までをも通勤圏にしてしまう速度で走るが、問題は運賃だ。いくら短時間で移動できるといっても、運賃があまりに高ければ利用者は増えない。

 現在のところ、まだ運賃について正式に発表されていないが、2010年にJR東海が公表した収支予想によれば、東海道新幹線の料金にそれぞれ品川〜名古屋間ではプラス700円、品川〜大阪間ではプラス1000円程度になるという。

 短縮できる時間に対してこの程度の運賃であれば、東海道新幹線から利用者がごっそり移ってくるだけでなく、東京大阪間の航空機利用者もかなりの割合で移動してくる可能性がある。なにしろ、品川駅も大阪駅も、リニア中央新幹線の場合は新幹線への乗り換えが容易になるのだ。これは航空機では太刀打ちできない利便性だ。

 そのため場合によっては、東京〜大阪間で廃止される航空路線も出てくるだろう。しかもリニア中央新幹線はインターネット予約制になる見込みなので、券売機に並ぶこともなくなる。というか、券売機そのものがなくなる予定だ。

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