
5/28まで帝劇にて上演
劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンタテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、ときに舞台では、ドラマや映画などの映像では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。
著名な俳優やタレントをナマで目のあたりのできるのは、舞台の魅力のひとつです。熱狂的なファンを観客動員に当て込めるため、演技経験のないアイドルが出演する舞台も乱発されていますが、それはそれで、活動の幅を広げたいアイドル自身と、応援する相手のがんばる姿をナマで見守りたいファンの双方にとって(たとえ作品のクオリティは度外視だったとしても)幸せな関係でしょう。
ミュージカルファンの厳しい視線
しかし、アイドルの内輪のコミュニティーの中から飛び出して演劇の“殿堂”の中まで歩んでくれば、がんばってさえいれば許容してくれるアイドルファン以外からのシビアな視線にさらされるのは、当然のことです。
現在、日本のミュージカルの聖地ともいえる帝国劇場では、もっとも人気のあるミュージカルのひとつ「レ・ミゼラブル」が上演中です。主人公ジャン・バルジャンの養女コゼット役で出演しているのは、人気アイドルグループ乃木坂46のメンバー、生田絵梨花。
大作のメーンキャストに選ばれたことに乃木坂ファンから誇らしげな声があがる一方で、ミュージカルファンからの冷ややかな意見もとどまりません。アイドルがミュージカルの舞台にあがることの是非を、同作で初ミュージカルに挑む芸人、トレンディエンジェルの斎藤司と比較しながら考えてみたいと思います。結論から言えば、生田絵梨花にはミュージカル以前に、俳優の前提であるいちばん大切なモノが欠けています。