「ムダ遣いしているつもりはないのにお金が貯まりません。家計簿を見てもどこがムダかわかりません。何を削ればいいのでしょう」という声をよく聞きます。
家計簿を指すと魔法のように該当の項目が赤く浮かび上がり、「こことこれがムダ出費ですよ」という答えを期待しているのだと思うのですが、コトはそんなに簡単ではないのです。なぜなら、その人によって必要なものは異なるし、他人がその人の使い道について、「これはムダ」と決めつけるのは難しいからです。
身近なたとえでは、夫の趣味の買い物を妻から見て「ムダ遣いだからやめろ」と言っても険悪になるだけでしょう。何がムダ出費なのかは、自分で決めるほかはないというのが筆者の持論です。
ただ、1つだけ言えるのは、「欲しくもないのに買った物や使ったお金」はムダ遣いそのものだと思います。代表的なものが、「寄り道買い」です。
毎日、特に用もなく帰宅途中のコンビニに寄っている、駅ビルの中のスーパーやドラッグストアのプチプラコスメコーナーを覗いてしまうなど、習慣化している寄り道スポットはありませんか? 覗くだけならいいのですが、見ているうちについ手に取って、買うつもりもなかったのにレジに向かってしまうことは? さほど欲しいわけでも、必要なわけでもないのに、その場に行ったために使ったお金が結構あるものです。一回300円でも20日間払えば、合計6000円も使っていることになり、おしゃれなお店のディナー代程度にはなってしまいます。
「寄り道買い」が思い当たる人は、その場所に近づかない日を1日でも2日でも増やすことです。自分がお金をつい使ってしまうムダ遣いスポットに物理的に近づかないのが、一番効果があるからです。リアルなお店だけでなく、ネットショッピングやフリマアプリも同じこと。それを覗くと、ついつい「ポチ」としがちだと思うなら、まずはそれを開かないことが大事でしょう。追跡型ネットワーク広告は少々面倒ですが表示オフで振り切ることもできます。
次に多いのが、「数合わせ買い」。巷にはびこる「よりどり3つセットで1000円ジャスト」「2着買えば10%オフに」という売り文句につられ、それほどほしくないものを組み合わせて買っている人は多いはずです。こういうクーポンもよくありますよね、「2000円以上買うと10%引きいたします」。もしその日の買い物が1500円だとすると、やっぱり数あわせのために、無理やりあと500円分買おうと考える。しかも、ぴったり500円にはなかなかならなくて、どうしてもオーバーしてしまうもの。
100円ショップでの買い物も似たようなところがあります。必要な買い物があって店を訪れたとしても、1品だけでレジに向かうのが恥ずかしく、わざわざ店内をぐるっと回り、どうせ安いからと他の物も手にしてしまう。
もちろん、数合わせのために買った物でもそのあと有益に利用できることもあるでしょう。でも、買う予定でなかったものを無理やり買っていることは、ムダ消費に他なりません。
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