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見城徹が『日本国紀』を守るために失った幻冬舎の信用 連載休止発表の作家も

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幻冬舎ホームページより

 幻冬舎から出版される予定だった津原泰水氏の小説『ヒッキーヒッキーシェイク』文庫版の発売が中止になった件は、大きな禍根を残した。津原氏の告発、そして、幻冬舎の代表取締役社長である見城徹氏によるツイートには多くの作家が怒りの声をあげたが、ある作家はついに幻冬舎の媒体で行っている連載を一時中断すると明言。

 幻冬舎で『ピンヒールははかない』を出版し、現在も幻冬舎のウェブサービス・幻冬舎plusでコラム連載「みんなウェルカム」を執筆しているニューヨーク在住のフリーライター・佐久間裕美子氏だ。佐久間氏は「note」で、連載の休止を宣言した。

出版業界のルールを破った見城徹のツイート

 幻冬舎社長・見城徹氏の炎上について、事のあらましを簡単に振り返っておく。発端は、津原氏が『ヒッキーヒッキーシェイク』文庫版の出版が急きょ中止になったと告発したことだった。津原氏の主張では、中止の理由は幻冬舎から刊行されている百田尚樹氏によるベストセラー『日本国紀』を、津原氏がツイッターを通じて批判したことであるという。

 この告発でツイッターは大炎上。見城氏は反論として5月16日夜、<津原泰水さんの幻冬舎での1冊目。僕は出版を躊躇いましたが担当者の熱い想いに負けてOKを出しました><2冊目が今回の本で僕や営業局の反対を押し切ってまたもや担当者が頑張りました。実売○○(引用者注:原文では具体的な数字が書かれている)でしたが、担当者の心意気に賭けて文庫化も決断しました>とツイートし、批判の声はさらに過熱した。

 実売部数の公表は、業界において重大なルール違反とされている。出版界の慣例では通常、本の売れ行きを見る際に“発行部数”を公表する。“実売部数”は作者ですら聞かない限り教えられることのない機密事項だ。見城氏はその数字を公の場で晒した。これは津原氏の今後の活動にも影響を与えかねない行為で、作家に対する脅し以外のなにものでもない。

 猛烈な批判を受けてさすがにまずいと思ったのか翌日昼に見城氏は<編集担当者がどれだけの情熱で会社を説得し、出版に漕ぎ着けているかということをわかっていただきたく実売部数をツイートしましたが、本来書くべきことではなかったと反省しています。そのツイートは削除いたしました。申し訳ありませんでした>とツイート。しかし、このつぶやきはかたちだけ謝罪の体をとっているが、津原氏への無礼に対する詫びはない。

 炎上は収束せず、見城氏は19日に出演した冠番組『徹の部屋』(AbemaTV)で改めて謝罪したうえ、ツイッターや755などのSNSの更新はやめることを明言。また、『徹の部屋』の放送も近いうちに終了するそうだ。その日の夜、ツイッターに<皆さん、今まで有難うございました><僕のツイートはこれにて終了します>と書き残して更新をストップさせている。

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