見城徹が『日本国紀』を守るために失った幻冬舎の信用 連載休止発表の作家も

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見城徹のSNS投稿に多くの作家が怒りの声

 見城氏に対しては、文筆業を営む多くの人々が直接的に怒りを表明した。

 高橋源一郎氏はツイッターで<見城さん、出版社のトップとして、これはないよ。本が売れなかったら「あなたの本は売れないからうちでは扱わない」と当人にいえばいいだけ。それで文句をいう著者はいない。でも「個人情報」を晒して「この人の本は売れませんよ」と触れ回るなんて作家に最低限のリスペクトがあるとできないはずだが>と、具体的な数字を公に開示して作家を貶めた見城氏の姿勢を糾弾した。

 映画評論家の町山智浩氏は<どんな商品でもヒット作ひとつに対して売れなかったものはその10倍以上あるわけですが、幻冬舎とつきあって見城徹社長の逆鱗に触れると、本が売れなかったことが全部著者のせいにされて、実売部数をさらされる危険性があるわけです>とツイート。他にも、平野啓一郎、万城目学、住野よるといった人気作家を始め、文筆に関わる多くの人々が見城氏および幻冬舎の姿勢に怒りの声をあげた。

 本を売るのは出版社側の仕事である。売上が芳しい成績を残せなかったのだとしたら、それは作家の責任ではなく、プロモーションなどの戦略をうまくつくることができなかった出版社側の責任である。それにも関わらず、見城氏は売れているものこそが正義で、そうでないものはどれだけないがしろにしても構わないという、出版社の社長とは思えぬ考えを公然と打ち出したのだ。

 また、出版社というのは単なる営利企業ではない。出版社には活字文化や学術研究を社会に広めるという重要な責務がある。専門書の刊行などでは多くの利益は見込めないが、そういった企業活動は、日本の文化、ひいては人類の未来のために寄与するもので、だからこそ出版事業には制度的な優遇措置もある。

 そもそも、津原氏による『日本国紀』批判は至極真っ当なものだった。『日本国紀』は他の書籍や「Wikipedia」と似通った記述があるのにも関わらず引用元が明記されておらず、史実として書かれている部分に信頼性の疑われる部分があるとして批判を浴びてきた。

 そのうえ『日本国紀』は増刷を重ねるごとに読者に対してきちんとした告知もなく修正や追記を重ねるという出版界のルール逸脱もおかしており、典型的な「事故本」である。

 こういった本に対して正当な論評を行うこと、そして出版社としてあるべき対応をしない幻冬舎に対して批判の声をあげることが、逆恨みされて辱めを受けるなど、あってはならない。

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