見城徹が『日本国紀』を守るために失った幻冬舎の信用 連載休止発表の作家も

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佐久間裕美子が連載休止を公に発表した理由

 作家たちが声をあげた流れで、思想家の内田樹氏はこのようにツイートしている。

<やはりここまで来たら日本の作家は「幻冬舎とは仕事をしない」ということを宣言すべきだと思います。僕はもともと幻冬舎と仕事をする気がないし、先方も頼む気がないでしょうから「勝手なことをいうな」というお立場の作家もいるでしょうけれど、それでも>

 佐久間氏による「みんなウェルカム」は、彼女自身がアメリカで生活しながら日々経験すること、感じたことを端緒に、アメリカ社会がいかに試行錯誤しながら「多様性」を育んでいるかを綴った連載エッセイである。

 佐久間氏自身も前述「note」のなかで、連載を始めた目的を<日本という圧倒的に多様性の低い国で育った自分が、たくさんの国から移民を受け入れるという壮大な「実験」で成長してきたアメリカという国にやってきて、今、トランプ政権の誕生や白人至上主義、ナショナリズムの台頭を前に、人々の人種的・性的・宗教的アイデンティティ、そして多様性について感じたり学んだりしたことを共有したいという意図で書き始めました>と説明している。

 だからこそ、圧倒的な売上を誇るうえ(『日本国紀』の発行部数は65万部と言われている)、安倍首相とも近しい関係にある百田氏をかばって、そういった権力に批判的な声をひねり潰そうとする見城氏の振る舞いは到底許容できるものではなかったのだろう。

 佐久間氏は静かに連載をフェイドアウトさせるという方式をとらず、あえて公に休止宣言をした。その理由も「note」に綴っている。

<自分はこれまで、アメリカに生きている中で、ナショナリズムや白人至上主義の台頭に、今、一人一人が自分の意見を表明しようという気運が高まっていることに、マイノリティの一人として勇気を得ているということをたびたび書いてきました。小さな声でも発する意味がある、そう言ってきたのです。そんな自分が何も言わずに連載をやめたとしたら、自分のふぬけぶりに呆れながらこれから生きていくだろうということは、ちょっと想像しただけでわかりました。それは自分にとって耐えられないことでした>

 23日、幻冬舎の公式ホームページ上では<実売部数という出版社内で留めておくべき内部情報を、今回、見城が独断で公にしてしまったことに対して弁解の余地はありません。改めて津原泰水氏にお詫び申し上げます>と、津原氏の名前を明示したうえで謝罪を掲載している。しかし一度根付いた不信感はそう簡単に消えないだろう。

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