大事な情報は目の前に転がっている
米国などの超大国はCIA(米中央情報局)に代表される巨大なインテリジェンス(諜報)機関を持っている。多くの人は、こうしたインテリジェンス機関は、潜入や尾行、盗聴といったスパイ映画のような工作ばかり行っていると考えているかもしれないが、実態はだいぶ異なる。
インテリジェンス機関には多くの情報アナリストが勤務しており、新聞や雑誌といった公開情報をベースに、コツコツと情報の分類・整理を行っている。そして、こうした公開情報の分析こそが、あらゆるインテリジェンス活動の基礎となっている。
知っている人にとっては当たり前の話だが、インテリジェンス機関の諜報員がジャーナリストを兼務しているのは珍しいことではない。この事実は、日常的な情報の中に、非常に重要な情報がたくさん含まれているということを如実に表わしている。
話を資産形成に戻そう。
稼ぎの一定割合を必ず貯金し、それを積極的に投資に回していくとして、どのような投資方法がよいのだろうか。実はこれも公開情報を丹念に辿れば結論は最初から出ている。過大なリスクを取りたくないのであれば、長期の株式投資を行うしか方法はない。
米国に行くと、ごく普通のビジネスパーソンが億単位の資産を持っており、退職後は悠々自適に暮すというケースをよく見かける。彼等が資産形成に成功している最大の理由は長期の株式投資であり、ほとんど例外はない。この話は日本のメディアでもたくさん取り上げられており、絶対に目にしているはずの情報だ。
ところが、自分が見たい情報しか見ないタイプの人は、仮のこの記事を見つけたとしても「外国と日本は違う」といってシャットアウトしてしまう。だが日本と米国で株式投資の仕組みが根本的に違うという事実はない。
日本も米国も長期的に見れば、株式投資の平均リターンは6%程度となっており、大きな違いはないのだ。違いがあるとすれば、日本の市場は値動きが粗く、ボラティリティ(上限変動の幅)が高いといったことくらいである。「外国と日本は違う」という話はたいていが想像(さらに厳しく言えば妄想)であると思った方がよい。
しかも今の時代は日本株とまったく同じ感覚で米国株を買うことができるので、国が違うことは何の障害にもならない。多くの人が語っている正攻法のやり方を実践できれば、成功する確率は間違いなく上昇する。
収入の一定額を強制貯蓄して生活費が足りなくなるケースにおいては、選択肢は3つしかない。副業などで稼ぎを増やすか、コストを切り詰めるか、資産形成を諦めるかである。情報リテラシーが高い人は、この3つの中から選択するしかないと腹をくくるが、リテラシーが低い人は、第4の答えを作り出してしまう。