コンビニで大人気の「名店再現系カップラーメン」、商品開発の裏側

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セブン-イレブンの名店再現系カップラーメン(左)「一風堂」/(中)「すみれ」/(右)「山頭火」(編集部撮影)

 安くて手軽においしい一杯が味わえるカップラーメンは、庶民の味方であり、日本が世界に誇るべき食文化でもある。

 日清食品の「カップヌードル」(1971年発売)は世界初のカップラーメンといわれている。その生みの親である故・安藤百福氏をモデルにしたNHKの連続テレビ小説『まんぷく』が、昨年10月から今年3月まで放送されていたのも記憶に新しい。

 現在、カップラーメンには各メーカーからバリエーションに富んだ商品が発売されており、売り場には所狭しと魅力的な商品が並んでいる。なかでもテッパンといえるジャンルが“名店再現系”だ。

 たとえば、セブン-イレブンは激辛ラーメンの代名詞である「蒙古タンメン中本」(東京都板橋区/本店、以下同)、ローソンは毎年バレンタインにチョコレートラーメンを提供するなどの個性的な挑戦が目立つ「麺屋武蔵」(東京都新宿区)、ファミリーマートであれば福岡でとんこつラーメン文化を支えている「長浜屋台やまちゃん」(福岡県福岡市)……といった具合に、各コンビニは全国各地の有名店とこぞってコラボレーションし、商品を展開しているのである。

 行列必至の人気店の味が、せいぜい5分程度の簡単調理で自宅にいながら楽しめるのは、純粋にありがたく、嬉しい。しかしイチ消費者としては、各コンビニとラーメン店の関係性はどうなっているのか、店の味をどれほど忠実に再現できているのか……などなど、疑問も湧く。

 そこで、「最強の店主 千葉拉麺四天王シリーズ」などのカップラーメン商品開発に携わった経験を持つラーメン評論家・山路力也氏に話を聞き、名店再現系カップラーメンの“裏側”に迫った。

名店再現系カップラーメンの先駆者は、あのコンビニ!

 そもそも、名店再現系カップラーメンが流行の兆しを見せ始めたのはいつ頃なのか。商品開発の大まかな流れや、その“監修料”についても解説してもらおう。

「2000年4月、セブン-イレブンの企画のもと、日清食品と人気ラーメン店の共同開発により、名店の味を再現するコンセプトの商品が発売されました。このときの名店には『博多一風堂』(福岡県福岡市)と『すみれ』(北海道札幌市)が選ばれ、翌年5月には『山頭火』(北海道旭川市)もカップラーメン化し、見事に大ヒット。これを受けて他社でも商品開発が盛んになり、現在のブームに至るというわけです。

 では、実際にどのように商品開発が進んでいくかといえば、基本的にはメーカーの企画担当者が発案してラーメン店にオファーし、コンビニなどに売り込んでいきます。ひとつのコンビニチェーン限定の、いわゆるPB商品になる場合もあれば、全国各地のスーパーなどで売られる商品になる場合もありますね。

 しかし、ひとつのお店のカップラーメンが複数のコンビニのPB商品になったり、別の違うメーカーによって新たに作られたりすることはありません。例えば、先ほど名前を挙げた『博多一風堂』や『すみれ』であれば、最初に日清食品が開発してセブン-イレブンで販売したという経緯がある以上、よそのメーカーやコンビニとはタッグを組まないということです。

 また、お店の監修料・ロイヤリティについては、コンビニ各社ではなく、メーカーから支払われるのが一般的だと思われます。契約形態は定額のこともあれば、売り上げに応じた分率になることもあり、そのパーセンテージも含めて、商品ごとに変わってくるというのが実情です」(山路氏)

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