キャリアより、「自分らしくいられるか」が最優先
「自分らしく働ける場所」「プライベートをしっかり充実させたい」「なにより安定が第一」「残業&休日出勤は問題外」など、がむしゃらに働いてきた世代にとっては信じがたい要望を持つ、現在の就活生たち。当然、面接に臨む心境も大きく変化している。
「絶対に、この企業に受かろう!なんていう気持ちは、まったくなかったです」と語るのは、在阪の有名私立大学出身で不動産運営などを行うBtoB企業に入社した田中さん(仮名/男性)。学歴だけを見れば、大手企業を舞台に活躍したいと熱望してもおかしくない人材だが……。
「就職先の一つの選択肢だった不動産業界は、過酷な営業ノルマや長時間の残業といった負のイメージがつきもの。面接の時には、この企業にもそんな負の部分があるのかどうかを確かめることに終始して、自己アピールはそっちのけだったことを覚えています」
田中さんは、「あれだけ質問したら、『営業や残業はしたくありません!』と豪語しているようなものです。それでも、ここがダメなら、別の企業で内定をもらえたらいいやという気持ちでした」と、当時の心境を振り返る。
売り手優先の時代であるため、A社がダメならB社に行けばいい。そんな贅沢ともいえる就職環境から、田中さんのような意識を持つ人は多いのだ。
また、「女性が多く活躍している」を売りにする企業の面接を受けた、都内の私立大学出身の石川さん(仮名/女性)は、別の思いがあったそうだ。
「企業説明会で『女性の管理職◯◯%は、他の企業に比べても高い割合です!』と押し出していた企業に、期待して面接に行ったらガッカリ。面接担当の女性社員は結婚指輪もなく、口ぶりからお子様がいらっしゃる様子もなく……。それとなく、出産後の職場復帰について質問すると、『うちは、仕事が好きな女性社員が多く……』とはぐらかされたので即刻辞退。就活を行う女性にとっては“あるある”ですよ」
こうした考えを持つ女性の就活生は実に多い。とりわけ、女性社員の割合が多い企業の場合、出世コースを歩めるのは、独身者か、既婚者かを単刀直入に質問したという実例も数多く聞く。
こうした声から、人気の大手と圧倒的なブランド力を持つ企業を除き、就活生は面接で「企業を面接している」ことがわかるだろう。では、面接担当者は、どのような振る舞いを心がければ就活生から敬遠されず、就職先として選んでもらえるのだろうか。