「『経験よりも、やる気。それがあれば、あとは何もいらない』と面接官が何度言っていました。その言葉から、『社員一人ひとりの個性などいらないよ』というメッセージを強く感じました」(男性)
個性を尊重してほしい就活生にとって、主張できない環境は息苦しく感じてしまう。逆に言えば、「個人の力を研ぎ澄ませて、それぞれの方法で活躍してほしい」と言い切ってくれる企業が好まれるのだ。
同様に、マイナスの印象を与えるのが、会社のルールや雰囲気に馴染んでもらおうと、就職活動中から先輩社員と就活生が二人三脚で面接に取り組もうという動き。これも、就活生にとって、「洗脳されて、自分がなくなるみたいで嫌!」と敬遠される傾向がある。
ほか、採用サイトでよく見かける「比較的、若い社員が多いのですぐに仲間になって仕事をがんばれる」といったフレーズ。この言葉も就活生には、よく思われない。
「20代や30代が多いということは、平均の勤続年数が短いということですよね? 安定して働けない場所で就職したいとは思わないです」(男性)
さらには、働き方改革に留意して、「残業や休日出勤は原則禁止」と謳う企業にも、就活生は嫌悪感を抱く。
「わざわざ社則でそんなことを言うということは、ゆとりを持って働ける環境ではないんだと思いますね」(女性)
とにかく、就活生は、面接官が発する言葉の裏を読み、企業の本質を見極めようとする。だからこそ、大切なのは“誠実”であること。
当たり前の結論だが、企業として表立って紹介できない部分も包み隠さずさらけ出す。そして、就活生の意見なども聞きながら「あなたが入社して、この問題と一緒に向き合ってほしいと思っています」や「あなたの意見をきっかけにして、改善に向けて動いていきます」と言い切ってしまう。そうした誠実な姿勢こそ、疑心暗鬼になって面接に向かってくる就活生の心を撃ち、より良い就労環境を築けるのではないだろうか。