社会

変わる「運動会」 時短、冷房休憩、熱中症対策…当たり前は「正解」じゃない

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「Getty Images」より

 全国各地が強烈な猛暑に襲われた5月25日(土)・26日(日)の週末。気象庁は週末の猛暑を予報し熱中症への注意を呼びかけ、週末に運動会を予定していた多くの小学校では、対策に追われた。

 5月中旬時点で、運動会の練習中などに児童生徒が熱中症と見られる症状を訴え、病院に搬送されるケースは全国各地で発生していた。23日には、新潟県長岡市の市立小学校で児童26人が、東京都町田市の市立小学校で児童5人が、体調不良を訴え病院に搬送された。いずれも校庭で、運動会の開会式や入場行進の練習をしていた時だったという。また同じ日には、東京都板橋区の陸上競技場で行われた体育祭に参加していた私立高校の生徒12人が体調不良を訴え、病院に搬送されている。

 25日・26日に運動会を開催した各地の小学校では、テントを増設する、プログラムを変更して終了時刻を早める、冷房の効いた部屋で児童に休憩を取らせるなどの熱中症対策をとった。多くの学校現場で熱中症への危機感を共有していることは確かだ。それでも運動会に参加した児童や保護者が熱中症や体調不良を訴えたと報告されており、今後は開催時期も含めて検討されていく必要があるかもしれない。5月でもこの暑さ、そしてもうひとつの運動会・体育祭シーズンである10月もまだまだ暑いのだ。

 時短であろうと、運動会を開催する以上は徹底した熱中症対策が重要になる。アイスノンで太い動脈を冷やして予防する、水分だけでは十分ではないため梅干しや経口補水液など塩分の含まれたものを取るなど、対策方法もしっかり周知しておきたい。

 また、熱中症対策に加えて、学習時間の確保、お弁当作りなど保護者負担の削減を目的に、「時短運動会」の実施が進んでいる地域もある。名古屋市では今年、半数の小学校で半日だけの運動会を予定。熊本県熊本市でも2016年の震災をきっかけに時短運動会が広まっているという。北海道札幌市では6割の小学校が運動会を昼頃までに切り上げている。

 小学校運動会に備え、6~12歳の児童たちが入場行進、立ちっぱなしの開会式や閉会式、学年ごとの種目など、炎天下の中で多くの練習をこなすことは、これまで当たり前とされていた。しかし、怪我のリスクもある組体操や騎馬戦をやるべきかやめるべきか、徒競走で順位を付けるべきか否か、昼食は家族で取るべきか……運動会の在り方を巡るさまざまな議論も、長年熱心に交わされてきた。

 かつて「当然」だったものが「正解」というわけではなく、議論を経て運動会が変容していくのは自然なことだ。運動会のみならず学校教育そのものも同様で、学校現場は今まさに教員の労働環境が問題視されている。サービス残業が当たり前のような長時間労働で、仕事内容は多岐に渡り、責任も重大。その過酷さから、近い将来、教員のなり手がいなくなる懸念も囁かれる状況だ。

 行事の練習のために学習時間が確保できない、児童や教員の苦労よりも保護者の感動を得ることが重視されるなど、運動会に限らず本末転倒な学校行事の在り方には疑問や見直しの声が上がるようになってきた。児童の安全や労働者の健康を確保したうえで、優先事項を吟味していく必要があるだろう。

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