東京オリンピック・パラリンピックの経済効果が32兆3179億円!? 異常に膨れ上がったワケとは?

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東京オリンピック・パラリンピックの経済効果

 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。1964年以来、56年ぶりに開催されるこのビッグイベントに関しても、各所がその経済効果を開催決定当時(2013年)に試算しています。

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【図表1】

 同じイベントでなぜこのような差が生まれるのでしょうか。それは、都の試算が選手村・新国立競技場などの五輪関連施設への整備費や大会運営費などに限定して行われたのに対し、森記念財団では、以下の効果を加えているからです。

●訪日外国人の増加や宿泊施設の建設増加などの大会開催に伴う直接的な需要の増加による効果
(生産誘発額1兆3664億円 付加価値誘発額 6749億円)

●交通インフラの整備など都市づくり事業の前倒し効果
(生産誘発額2兆4428億円 付加価値誘発額 1兆1972億円)

●新規産業の創出効果
(生産誘発額5兆780億円 付加価値誘発額 2兆7194億円)

 そのうえ森記念財団は、五輪が開催されることで国民のテンションが上がり、それが消費行動の拡大につながるという「ドリーム効果」に対して7兆5042億円(付加価値誘発額3兆7220円)を都の試算に上乗せしています。

 先に述べたように、経済効果は「それを行うことで動くお金の総額」なので、首都高速の再整備や雇用問題といった、五輪が開催されずとも必要となる生産誘発額を多分に含むように計算してしまうと、調査者のさじ加減ひとつで効果の額が大きく変動するのです。

 その傾向は、2017年に東京都オリンピック・パラリンピック準備局が発表した経済効果の額にも見られます。

 最新の試算による経済効果はなんと32兆3179億円。4年前に招致委員会が試算した額の10倍以上に跳ね上がっています。

 これにはもちろんカラクリがあって、まず分析対象期間が2013年から2030年までと、前回の調査時より10年ほど延びています。

 そして、大会運営に直接関わる直接的効果5兆2162億円以外に「レガシー効果」として街のバリアフリー対策、外国人留学生増加による需要増価額、国際ビジネス拠点形成、自動運転技術の普及拡大、ロボット産業の市場規模拡大など、大会をきっかけに活性化されるであろう産業による経済効果27兆1017億円が計上されているのです。

 この「レガシー効果」は、オリンピック・パラリンピックがなかったとしても日本のこれからを考えると必要となるものです。わざわざここに計上した理由を考えると、ある事情が思い浮かびます。

 それは、東京オリンピック・パラリンピック開催にかかる費用の増加です。招致当初、当時の猪瀬直樹東京都知事は「40年前の五輪施設をそのまま使うので、世界一カネのかからない五輪」になると豪語していました。

 2013年時点での開催費用予算は、大会終了までに7300億円で済むとしていました。しかし、2018年10月、会計検査院は2013〜2017年の5年間で国が支出した開催経費がすでに8000億円を超えてしまったと指摘しました。組織委員会と東京都も含めると、開催費用は3兆円を超える可能性があるとの指摘もありました。そのため、東京五輪には3兆円という莫大な支出に見合う経済効果があることをアピールする必要が生まれ、このような発表になったのではないかと邪推するのです。

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