東京オリンピック・パラリンピックの経済効果が32兆3179億円!? 異常に膨れ上がったワケとは?

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経済効果の分だけ本当に潤うのか

 経済効果は、プラスに働く箇所だけを列挙して試算する傾向があります。「ドリーム効果」によって、確かに五輪関連の消費は活性化するかもしれません。しかし、各家庭の収入の増加が見込めなければ、それ以外の消費行動が冷え込み、全体として景気に大きな変動が見込めません。

 また公共施設建設による経済効果が語られるとき、自治体が税金で負担する額に関することや、イベント終了以降に見込める収益とその維持に関する議論がなされていないと感じます。果たしてオリンピック・パラリンピック開催は、本当に日本の景気や経済を活性化させてくれるものなのでしょうか。1998年に長野で開催された冬季オリンピックを事例として検証してみましょう。

 オリンピック終了後の1998年12月に長野県情報統計課が発表した経済効果によれば、長野県内での経済効果(生産誘発額)は2兆4548億円、付加価値誘発額が1兆2497億円となっています。つまり、オリンピックを開催したことで長野県内に1兆円以上の「儲け」が出たと試算しているのです。確かに長野県に新幹線が開通し、高速道路や道路が整備されたことによって、流通業や観光業をはじめ、長野県の産業に大きなメリットをもたらしたことは事実です。

 しかし、大会運営費や関連施設費は当初の予算に比べてかなり膨大になってしまったようで、大会運営費は当初400億円の予算に対し、実際は1080億円ほどに達しました。

 また、オリンピック誘致に際して「新規の施設はなるべく作らない」と閣議決定されていたにもかかわらず、結果的に多くの新規施設が作られ、その費用は2000億に達したといわれています。それらの施設は広域にわたって建設されたため、道路のインフラ整備にも2500億円が費やされたようです。その費用は県や市町村が負担しました。その結果、長野五輪開催が決定した1991年と比較すると、大会終了時には県の負債が1兆円も増加し、その後も施設の維持管理に多額のお金が費やされたと見られているのです。

 さて東京オリンピック・パラリンピックでは、長野オリンピックと同じ轍を踏むことはないと言い切れるのでしょうか。

 「景気は気から」という言葉があるように、経済効果の額を大きく発表することで、国民の経済活動に対する意欲を高揚させたいという気持ちはわかります。しかし、労働によって付加させた価値に見合う賃金がしっかり支払われる労働環境整備がなければ、それらは机上の空論で終わってしまうのではないでしょうか。

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