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女性嫌悪・黒人差別・オバマ嫌悪~トランプが女性ドル紙幣を延期した理由

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米国初の女性が印刷された紙幣

 アメリカにとって2020年は大統領選の年であるだけでなく、米国初の女性が印刷された紙幣が誕生する年のはずだった。ところが先日、トランプ政権の財務長官が、紙幣発行を「2028年に延期」すると発表した。理由は「偽造防止対策」だ。

 これは明らかに言い逃れだ。トランプは新紙幣を、少なくとも自分の任期中に発行したくないのだ。トランプは来年の大統領選にも勝って2期目を務める気であり、もしそうなれば2024年までホワイトハウスに居座ることになる。

 トランプが新紙幣を嫌う理由は複数ある。

 米国史上初の女性紙幣の発行が来年に設定されたのは、2020年が女性の参政権を定めた米国憲法修正第19条の批准100周年に当たるからだ。トランプは紙幣に女性を印刷することにも、女性参政権の史実にも、敬意を払うつもりは毛頭ないのだ。

 また紙幣に印刷されるのはハリエット・タブマン(1822-1913)という名の奴隷解放運動家だ。つまり米国史上初の黒人が印刷される紙幣ともなる。かつ米国史上最大の汚点、奴隷制度の存在を紙幣に刻むことにもなる。

 タブマンと入れ替わりに紙幣から姿を消すのは、トランプが敬愛して止まない第7代大統領アンドリュー・ジャクソン(1767-1845)。ジャクソンはネイティヴ・アメリカンへの残酷な政策、かつ奴隷主であったことで知られる人物だが、トランプはジャクソンに心底、入れ込んでいる。墓地を訪れ、肖像画をホワイトハウスに飾っている。さらにジャクソンと自分を重ね合わせる発言すらおこなっている。

 加えて、女性紙幣の発行を決定したのがオバマ政権であることも理由と思われる。バラク・オバマをとことん憎み、嫌うトランプは大統領就任後、オバマ政権の政策を可能な限り覆そうと躍起になっているのは周知である。

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8歳の少女からの手紙

 女性紙幣の発行は、一人の少女からオバマ大統領への手紙から始まった。任期中、オバマ大統領は全米の人々から大量の手紙を受け取っていた。すべてを読むことは不可能であり、スタッフが選んだ10通を読むことを日課としていた。

 2014年、当時8歳だったマサチューセッツ州在住の少女、ソフィアからの手紙がオバマ大統領に強い印象を残した。手紙は「親愛なる大統領。女性が載ったお金がなぜないのか知りたくて、お手紙を書いています」から始まり、10人以上の女性の名が挙げられていた。ローザ・パークス(公民権運動家)、エミリー・ディキンソン(詩人)、エレノア・ルーズベルト(第32代ファーストレディ、女性運動家)といった偉人に混じり、ミシェル・オバマとヒラリー・クリントンの名もあった。

 翌年、オバマ大統領はソフィアをホワイトハウス恒例のエッグロールに招待した。イースター(復活祭)に多くの子供たちを招き、大統領夫妻も子供たちと共に遊ぶ楽しいイヴェントだ。ソフィアに送った招待状の中で、オバマ大統領は女性紙幣を「いいアイデア」としながらも、発行の確約はまだしていない。だが、ソフィアに向けて以下のように綴っている。

「女性が男性と同じ機会を得られる国で君が大人になれるよう、努力すると約束します。そして、君が重要だと思う問題に関わり続けるよう期待します。学校に集中し、可能な時は他の人を助けようとするなら、君が成し遂げられることは無限になります。手紙をありがとう。君からの大きなこと(の達成)を待っています。敬具。バラク・オバマ」

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