安全・安心な避妊は人として当然の権利 緊急避妊薬アクセス改善への提言

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2017年にはOTC化が検討されるも……

 緊急避妊薬を処方箋不要の一般医薬品にするかどうかは、2017年7月に国の「第2回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(スイッチOTC検討会)で議論されている。会議は医師、薬剤師、消費者代表などで構成されていたそうであるが、このときには緊急避妊薬のOTC化は反対意見多数とのことで見送られている。

※医師の処方箋が必要な医療用医薬品(処方薬)から、処方箋不要のOTC(大衆薬)に転用された医薬品をスイッチOTCという。

 なぜ見送られてしまったのか? 主な反対理由として挙げられたのは、「薬剤師は知識不足」「生命軽視につながる」「医師による性教育の機会が失われる(日本医師会)」「薬剤師が説明できるとは思えない(産婦人科医)」など。最終的に「時期尚早」であると結論づけられたそうである。時期尚早……それを理由とするのなら、いったいいつになれば、研修会などで薬剤師に必要な知識が与えられるのだろうか。

 また、「医師による性教育の機会が失われる」という意見はあまりにズレているとしか言いようがない。緊急避妊薬をもらいに行ったその場での性教育に重きを置くよりも、日本の義務教育期間中の性教育の遅れをなんとかすることが先ではないのだろうか。

6000円~2万円、高すぎる緊急避妊薬の薬価

 緊急避妊薬が日本ではあまりに高価格なことも、本当にこれを必要とする際の入手を阻む大きな問題だ。先に中国では「市販化されており1000円程度で手に入る」とお伝えしたが、これはなにも中国に限ったことではないのだ。

 他国の緊急避妊薬の取り扱い状況について、性の健康教育を進めているNPO法人ピルコン理事長の染矢明日香氏に話を聞いた。

「先進国に限らず、緊急避妊薬は既に安全性が確認されたとして世界の19カ国で市販化され、76カ国で処方箋なしに薬剤師を通して購入することができます。 (2019年6月現在ICECより)。価格帯も5千円未満のところが多く、更には若者には無料で提供する国も少なくありません。

2018年のWHO(世界保健機構)の勧告においても、『意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利があり、緊急避妊の複数の手段は国内のあらゆる家族計画プログラムに常に含まれねばならない。』とされています。また、同じくWHOは緊急避妊薬のアクセス改善が、無防備な性行動や性感染症を増やすことはないと結論付けています。

私たちが日本の高校生にとったアンケート調査では、緊急避妊薬の認知度は21%。日本ではコンドームによる避妊が主流ですが、その年間失敗率は18%ほどあり、コンドームが破れたり外れたりする失敗は、誰もが当事者になり得ることです。きちんとした避妊の知識が知られるようになり、必要な人に緊急避妊薬が届くことで、望まない妊娠・出産やそれに起因する虐待はもっと減らせるのではないでしょうか」

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