映画『コレット』が韓国SNSで起こした運動にみる、社会を拓く力とは

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韓国映画は女性の主演作品が約3割へ

 このように、韓国はリアルな社会の変化を共有したことで、SNS上でも“コレット観覧運動”に見られるようなムーヴメントが一般化していったと推測できる。「ろうそく革命」によって政権を動かしたような出来事が、映画のような日常レベルで繰り返されているのだろう。

 もうひとつ、韓国のSNS上で起こった運動を紹介したい。

 2018年公開に公開された映画『ミスバック』は、過去の虐待により心の傷を負いながらも同じ境遇に悩む少女を守ろうとする女性の葛藤を、女性監督イ・ジウォンが描いた作品だ。低予算作品にも関わらず、「ロンドン東アジア映画祭2018」では「Stories of Women」セクションのオープニング作品にノミネートされるなど高い評価を受けていた。しかし、韓国国内での『ミスバック』公開当時は、『流布』や『殺人鯨ナム』など大作映画の公開ラッシュで、『ミスバック』の興業成績は伸び悩んでしまった。一時は上映中止も危ぶまれたが、SNS上で“観覧運動”が起こり、総観客数72万人超という記録的な興行結果に及んでいる。

 この“ミスバック観覧運動”の裏には、単に作品を支持するだけではなく、“女性の監督が、女性を主演にして、女性の痛みを扱った作品”を興行的に成功させることで、女性を描いた作品や、女性主体の映画製作がメジャーなものになってほしい、という主張が込められていたという。

 こうした運動は結実しつつあり、2018年に韓国で公開された商業映画は、女性主演の作品が初めて3割を超えた。また、女性監督の作品は過去5年間で着実に増加しており、全体の13%にまでのぼるなど、製作現場におけるジェンダーバイアスにも変化が現れ始めている。

 一方で、日本はどうだろうか。2018年に公開された日本の商業映画の監督は、男性が94%であり、女性はたった6%に留まった。さらに、数少ない女性監督作品のうち河瀨直美監督の『Vision』や、平柳敦子監督の『オー・ルーシー!』などは海外の製作会社が手がけたものであるという点も考慮すれば、その深刻さがうかがい知れるだろう。

 韓国のSNS上で発生した運動は、フェミニズム映画の萌芽だけでなく、より多様性のある映画作品の誕生や、それを受容する社会を形成することにつながる。ひるがえっては、日本においても、私たち観客の声こそが新しい道を切り拓く力を持つのではないだろうか。

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