元農水次官の長男殺害を「立派だ」と賞賛…「ひきこもりは悪魔の予備軍」と偏見を増幅させる報道続く

文=wezzy編集部
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『ひるおび』では「引きこもりは悪魔の予備軍」

 先月31日放送の『ひるおび』(TBS系)では、引きこもりを「悪魔の予備軍」と表現し、犯人の伯父・伯母の責任を問う場面があった。コメンテーターの立川志らくは、岩崎隆一容疑者が伯父伯母に育てられたという話になると、<育てた伯父伯母は高齢なので責任を問うのは酷だが><もっと早く何とかできた、こういうモンスターを作り上げる前に、小遣いを顔も見ずに与えてた、どんどん甘やかしてたわけでしょ、それがこういう恐ろしい人をこしらえてしまった>と発言。

 日本女子体育大学教授の溝口紀子氏は<ひきこもりの高齢者が61万人もいて、全部が悪魔になるとは思わないが、予備軍になっちゃうような人が、もしかしたらいるかもしれない>と、引きこもりは“悪魔の予備軍”になる可能性があると述べたのだ。

 さらに、今月2日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で川崎殺傷事件を取り上げた際、松本人志は「引きこもり=不良品」ともとれる発言をした。

<僕は人間が生まれてくるなかでどうしても不良品っていうのは何万個に一個(ある)。これは絶対に僕はしょうがないと思うんですよね。それを何十万個、何百万個にひとつぐらいに減らすことはできるのかなっていう、みんなの努力で。まあ、正直、こういう人たちはいますから絶対数、もうその人たち同士でやりあってほしいっすけどね>

 なお、この発言について本人はツイッターで<ひきこもりが不良品と言ったのではなく、凶悪犯罪者は人として不良品と言った>と弁解している。

 しかし当然のことながら、61万人の「引きこもり」全員が犯罪を起こすわけではない。また、家庭や自室にこもる人々を「引きこもり」とひとまとめにすることも問題があるだろう。引きこもりになった原因や生活環境、心境は個々によって異なるからだ。「引きこもりは犯罪を起こす」「引きこもりは悪者」という偏見を広める報道は、事件の予防になるどころか、引きこもっている当事者やその家族を追い詰める。

 メディアが本当に伝えるべきことは、偏見を助長する感情論ではないはず。たとえば、家庭内の問題を家族だけで解決しようとせず、公に助けを求めることは何ら恥ずかしいことではないと積極的に伝えるだけでも違うのではないか。第三者機関の相談窓口、適切な医療の介入、解決事例、家族と離別して立ち直る方法など、いくらでも伝えるべきことはある。厄介な人間をこの社会から除去する動きではなく、そうした「人間を生かすための取り組み」こそ議論の価値がある。

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