社会

救急車は5秒に1回の頻度で出動 事件・事故現場で命を救う救急救命士らの活躍

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119番通報から病院での処置までにおよそ39.3分

 さて、救急車は119番通報を受けてから、どの程度で現場に到着するのだろうか。2017年の現場到着までにかかった時間は、全国平均で8.6分となっている。そして、救急車が負傷者を乗せ、病院に到着して医師に引き継ぐまでの全国の平均所要時間は39.3分だ。

 道路事情や現場までの距離など諸事情を勘案した場合、現場到着までの8.6分が迅速なのか、遅いのかは一概に判断するのは難しいが、病院に到着して医師の処置を受けるまでにかかる39.3分を、意外なほど長いと感じるのは筆者だけだろうか。

 病院搬送者のうち84.1%は病院側の受け入れが1回で決まっているが、13.5%は2~3回、2.4%は4回以上も病院への受け入れ要請をしている。なかには、11回以上の要請を行ったケースも2578件あった。いわゆる「病院たらい回し」だ。

さらに、搬送された患者のうち2万4027人(0.4%)は、病院への搬送後、「処置困難」や「専門外」「満床」などの理由から他の病院へ転送されていることを見れば、病院に到着して医師に引き継ぐまでの全国の平均所要時間が40分近くかかっている背景にあるのは、救急搬送を請け負う救急車の問題ではなく、病院側の受け入れ体制の問題であることがうかがえる。

 病院側にも医師の不足や搬送件数の増加など、受け入れを拒否せざるを得ない事情があり、社会的な問題にもなっている。これはある救急隊員から聞いた話だが、かつて年間に200回も救急車を呼ぶ高齢者がいて、「救急車を通院のためのタクシー替わりに呼んでいた」と話したという。公共交通の利便性が悪く、自らの交通手段を持たなかったため、救急車を使ったそうだ。ちなみに現在は、役所の福祉課がこの高齢者を担当することで救急車を呼ぶことはなくなったというが、こうした無分別な119番通報も問題の一端ではある。一方で、一刻も早く救急車を呼ぶべきなのに、大袈裟に感じて躊躇ってしまうケースもあるだろう。

 最後に、この救命隊員が、筆者にぜひとも書き加えて欲しいと言った話をしておきたい。「もし、事故現場などに居合わせることになった場合には、ぜひ、負傷者の応急手当を行って欲しい。応急手当が行われた負傷者と行われなかった負傷者では、生存率に大きな差が出る」。

 救急現場に居合わせた人によって応急手当(胸骨圧迫・人工呼吸・AEDによる除細動)が行われるケースは年々増加しており、2017年には、心肺機能停止傷病者の49.9%に対して、一般市民による応急手当が行われている。そして、一般市民によって心原性心肺機能停止が目撃された傷病者で、救急隊が到着するまでに応急手当が行われた場合、1カ月後の生存者数の割合は16.6%。応急手当が行われなかった場合の9.4%の、約1.8倍も違っている。

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