女性が30代頃から起きる悩みのひとつに「尿もれ」がある。尿もれの大きな原因は妊娠・出産といわれているが、妊娠出産経験のない女性でも、5~6人に1人(約17%)がなんらかの尿もれ症状を自覚している――『Annals of Internal Medicine』(3月18日)にそんな研究報告が発表された。
妊娠出産以外で尿もれの原因は、加齢や運動不足。そして、咳やくしゃみ、笑ったり、重いものを持ち上げたり、突発的な強い腹圧がかかる場合などだ。これらの原因も大本をたどれば、骨盤の底辺を支える「骨盤底筋」の緩み。そのため、骨盤底筋を鍛えることが尿もれの改善に有効だといわれている。先程の研究報告でも「尿もれに悩む女性には、薬物療法よりも行動療法の方が症状改善に有効」と結論づけている。
骨盤底筋が緩むと骨盤が開いて尿もれに?
骨盤は、臓器を支える“座椅子”のような形をしている。この形状を維持するのに特に重要なのが「骨盤底筋」だ。骨盤底筋が緩むと骨盤が開いて臓器が落ち込み、尿道を締める力が緩んで尿もれの原因のひとつとなる。その骨盤底筋を鍛えるのに、有効な方法をいくつか紹介したい。
●尿道を締める筋肉を鍛えよう
①仰向けに寝た状態で、足を肩幅に開き膝を立てる。
②ゆっくりと両膝を広げ、足の裏同士を合わせた状態をキープする。
③肛門と尿道を締めて身体の中に引き上げるように力を入れ(トイレを我慢しているようなイメージ)、5~10秒をキープ。終わったらゆっくりと①の状態にもどる。
これを5~10回×3セットを目安に行う。
骨盤底筋をサポートする筋肉を鍛える
骨盤底筋の負荷を分散させることで、骨盤底筋本来の働きをサポートする筋肉がいくつかある。これらの筋肉群を併せて鍛えていくのが、尿もれ改善の近道だ。骨盤底筋を含めたそれぞれの筋肉とトレーニング方法を紹介していこう。
●くしゃみや咳での尿もれには「横隔膜」を強化
「横隔膜」は肺の下部、みぞおちあたりにあり、呼吸を司る膜状の筋肉。横隔膜の機能が低下すると、くしゃみや咳などの突発的な生理現象で尿道への力が抜け尿もれを起こしてしまう。
① 足を肩幅程度に開き、直立した状態で両手を組み顎の下につける。
②背中を丸め、顎を引き(目線を下げる)、両肘をなるべく閉じる。
③鼻から息を大きく吸いながら、両肘を開き目線を上げるように顎を上げる。
④息を吸いきると同時に、口から細く強い息を吐きながら②に戻る。
3~5回を目安に行う。
*貧血や高血圧の症状がある場合は無理をせず、座った状態や呼吸を若干浅めに調整すること。
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