勉強と練習を積み重ね「抱っこ紐業界」へ踏み込むと、次第にインストラクター仲間が増えていきます。そしてさまざまな抱っこ紐を学ぶ講座へ参加するなか、1枚布タイプの使い方を身に着けよう、広めようとする人たちに「自然派ママ」の多さを実感。しかも、過激派……。
H子「もちろん全員ではありませんが、ベビーラップやスリング、おんぶ紐の使い方を広めたいという人たちは、『昔ながらの日本文化最高!』というタイプの人がとにかく多くて。そういった志向そのものはご自由になのですが、抱っこ紐インストラクターという肩書で、巷のお母さん方に指導をする立場の人たちが偏った情報を発信し、エルゴをはじめとするいまどきの抱っこ紐を見下すような動きがあるのが本当にイヤなんです。
基本私たちは、日本小児整形外科学会が推奨している『コアラ抱っこ※』を基本とし、一部が勧めている『横抱き』はしません。ですから抱き方そのものはエルゴ系だろうがベビーラップ系だろうがたいして変わりはないハズなのですが、『1枚布タイプは、エルゴよりもっと密着できる!』みたいな主張をする方がたくさん。そしてエルゴユーザーのお母さんたちに対しては『今はエルゴしか使えないなら仕方ないけど、いずれは兵児帯で抱っこ・おんぶするまでの高みまで登ってきてよね!』といわんばかりです。
善意の暴走
H子「以前、エルゴの販売元であるダッドウェイの方に来ていただき、使い方などを教えていただく集まりがありました。するとその手のインストラクターたちは『所詮、企業の人。抱っこのなんたるかが、まったくわかってない』という感じで、先方のレクチャーも話半分で聞き流している。こちらからお願いして教えていただく態度じゃないんですよ」※コアラ抱っこ=赤ちゃんがM字型開脚で養育者の胸にしがみつく形になるように、正面&縦で抱く形
中でも最も困惑しているのは、いまどきの抱っこ紐をディスるインストラクターたちはもれなく、砂糖ダメ牛乳ダメ反ワクチンホメオパスたまにヒプノセラピーやオステオパシーもたしなみます、といったタグがついていること。
「牛乳を飲ませない」育児論の松嶋尚美、母乳育児にこだわり…『子育てトンデモ言説』が母親たちを振り回す
2011年12月に第一子となる男児を、2013年6月に第二子となる女児を出産し、ママタレ街道を驀進中の松嶋尚美(43)が、テレビ番組で医師に育児方針を…
H子「そうすると、抱っこ紐を習いに来るお母さんたちがそういったいわゆるトンデモに染まっていく。しかもこういった人たちはNPO法人とかを作りお役所とかにも食い込もうとすることに熱心なんです。子育てを助ける知恵を広め、世のお母さんたちを楽にしてあげたい!! という気持ちからだというのはわかるんですが、どうしてもトンデモ物件とセットになりがちなのが、今本当に頭の痛い問題です」
この現象はH子さんの周りだけでないようで、抱っこやおんぶの情報を発信する某同好会ではベビーウェアリング※※の教室や講習会が増えている現状を踏まえ、声明文も出しています。
※※ベビーウェアリングとは=日本語にすると「赤ちゃんをまとうこと」。赤ちゃんを「運ぶ」のではなく「一体となる」という意味がこめられている。